激闘編
第九十二話 再侵攻
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れにもし捕虜交換を帝国が受け入れたなら、帝国に囚われている同盟軍兵士達が戻って来る事になります。損はありません」
「ふむ…戦争よりよほどいい仕事じゃな…じゃが、目的はなんだ?」
「帝国人に、同盟に慣れて貰いたいのです」
「アムリッツァの様にかね?」
「はい。徐々に共和制に慣れて貰う…アムリッツァの各星系は同盟に対する拒否反応も少なく、今では同盟各星系からの入植も進んでいます。もっと軋轢が生じるかと予想していましたが、意外でした」
「皆腹を満たしておれば不満など出んからの」
「そうなのです。確かにそう進言しましたし、現在の状況はそうなっているのですが、となると同盟と帝国、税金を納める先が変わるだけで所属する国家は関係ないという事になりませんか?」
「確かにの。政府閣僚がよく言う、暴虐な専制政治の打破とかいう謳い文句…百五十年も戦争しておれば絵空事にしか聞こえんからの」
「はい。帝国は我々の事を共和主義者、凶悪な政治犯と蔑んでいます。帝国辺境にとってはそうではないのかも知れない。帝国辺境の在地領主達は過去の政争の結果辺境に追いやられたり、帝国中枢から弾かれた人々ですから、心理的風土は我々に近いのかも知れません。アムリッツァの状況を見て、そう感じたのです」
「ふむ、それで」
「以前から行っていた、ボーデン、フォルゲンへの働きかけを強化したいと思っています。同盟に帰化した捕虜はその活動に参加させるつもりです」
「以前からだと?貴官、そんな事をやっておったのか」
「はい」
はい、と答えたウィンチェスター閣下は少し面映ゆそうだった。貨客船と農業プラントの提供に留まっていた物をこれから加速させる…同盟に帰化した捕虜を使うというけど、帝国にバレてしまうのではないだろうか…。
「しかしのう…あまり大っぴらにやると帝国に露見してしまうのではないかな」
ビュコック長官も私と同じ疑問を口にした。
「露見しても構いません」
露見したらどうなるか…ウィンチェスター閣下は再び説明を始めた…ボーデン、フォルゲンに領地のある在地領主達や現地住民は帝国政府から責めを追うだろう。帝国政府に許可を得ずに…許可など出る筈はないだろうが、叛乱軍勢力と関係を持った、として領地没収、現地人民は政治犯扱いか農奴階級に落とされるだろう…確かに閣下の言う通りかも知れない。同盟がアムリッツァを確保した事によって同盟領と帝国領が直に接する様になったから、同盟の動き次第では考えられる事態だ…。閣下は説明を続ける。
「以前接触した時の事です、その時は貨客船と農業プラントの提供に留めたのですが、それだけでも非常に喜ばれました。占領直後のアムリッツァもそうでしたが、農業について帝国辺境は地球時代における中世となんら変わらない。それほど彼等は困窮しているのです。そんな状況でも反乱が起
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