激闘編
第九十二話 再侵攻
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たならば、時期はいつ頃でしょう?」
「選挙前だろうな。選挙は十二月、となると遅くとも十月には出兵だろう」
出兵が決定してしまえば、本部長もビュコック長官も反対は出来ない。作戦実施に向けて準備をしなくてはならない。
「改めて確認しますが、委員長ご自身は反対のお立場なのですよね?」
「無論だ」
「分かりました。善後策を協議してみます」
「頼むよ」
トリューニヒトの返事と共に中断されていた夕食が再開された…。
1月23日09:00
統合作戦本部ビル、宇宙艦隊副司令長官執務室、
ミリアム・ローザス
閣下は先日、トリューニヒト委員長の別宅に呼ばれたみたい。トリューニヒト委員長、グリーンヒル本部長、ビュコック司令長官、そして閣下…この四人で今後の方針を話し合ったというのだけれど、何かあったのかしら、今日の閣下は機嫌が悪そう…。
うん、そうだ、そうしよう…閣下は独り言の様にそう言うと、内線をかけ始めた。
「あ、司令長官は在室かな?……了解です、そちらに行くと伝えてください……ほら少佐、行くよ」
言われるがままに着いていく。普段、大抵の用事は私か内線で事足りる。司令長官の執務室に行くと言う事は、長い話になるという事だ…。
司令長官執務室では副官のファイフェル少佐が出迎えてくれた。
「何か急用かな、ウィンチェスター提督」
ビュコック長官はいつお目にかかっても好好爺、という表現がよく似合うと思う。亡くなった祖父とは違うけど、とても好感の持てるお方だ。
「ちょっと考えがありまして」
「ほう…?一体何を思いついたのかね?」
「捕虜の事です」
「捕虜?」
ウィンチェスター閣下は説明を始めた。捕虜を活用したい、と言う。同盟にはおよそ二百万人程の帝国軍捕虜が存在しているそうだ。
「まずはフェザーンを通じて帝国に捕虜交換を打診します。ですが、おそらく受け入れられる事は無いと思います。帝国の面子がそれを拒むでしょうから。その上で捕虜達の意識調査をして、同盟に亡命を望む者、帝国に帰国を望む者とに選別します」
「ほう…だが、亡命を望む者など存在するかな」
「帝国が交換を拒むとなれば…帰国を断念する者も出るでしょう。それに、帰国出来たとしても彼等には過酷な運命が待っています。共和主義者に逆洗脳を受けたとか、叛徒共に屈した売国奴とか…」
「成程のう。有り得る話じゃ」
「亡命者として受け入れる姿勢を見せれば、溶け込むのは早いと思います」
「帰国を望む者…要するに同盟に与するのをよしとしない者達じゃが…その者達はどうする?」
「捕虜という処遇は変わりませんから、定期的に意識調査を実施します。同盟に帰化した者達の状況を知らせれば、気が変わる者もいるでしょう」
「成程のう」
「はい。上手くいかないかも知れませんけどね。そ
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