激闘編
第九十二話 再侵攻
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か、そうじゃろうて…ところで本部長、今日のこの会合はどういう趣旨のものですかな」
「はい。今後の国防方針についてすり合わせをしたい、との事です。最高評議会で何やら出兵論が出ている様でして」
「出兵論ですと?」
グリーンヒル本部長によると、内容はこうだった…先の戦いはアムリッツァは守られたものの、素人目には敗けに等しい戦いだった、戦略的に攻勢なのは同盟なのに、守勢にまわっているように感じられる…ヴィーレンシュタインまで押し出せば、印象的には大分違うのではないか…という事らしい。
「トリューニヒト国防委員長がそう仰っているのですか?」
「いやビュコック長官、言い出したのは最高評議会議長です。正確には議長に直接、話を持って行った一部の軍人達です」
何やらきな臭い匂いがするな、原作に似て来たぞ…。
「一部軍人と言いますと…」
ビュコック長官がそう続けようとすると、トリューニヒトが部屋に入って来た。
「ああ、敬礼はいい、楽にしてくれたまえ」
皆座ると、続いて使用人と思われる女性が食事や飲み物の類いの乗ったカートを運び入れる。
「皆、夕食はまだだろう?今後の方針の検討とは言うものの非公式な会合だし、気楽に行こうと思ってね。さ、遠慮なくつまんでくれたまえ」
トリューニヒトはそう言うが、本部長も司令長官も動かない…仕方ない、先陣を切るか…。俺が取り皿によそうと、二人も倣う。一通り取り分けてソファに戻ると、ビュコック長官が再び切り出した。
「委員長、政府内で出兵論が出ているというのは本当なのですか?」
「本当だ。私は反対なのだがね」
酒も用意されているけど、皆飲んでいるのはノンアルコールの物ばかりだ。非公式とはいえ酔っぱらったらどんな本音が出るかわからん…。
「しかしだ、高級軍人というのは一体何を考えているんだ?艦隊を率いて戦う事しか考えられないのかね?君達なら私の言っている意味が理解できると思うが」
呆れがちなトリューニヒトの問いに、ビュコック長官もため息をついた。
「現在の軍の方針では、帝国軍が来ない限りしばらく戦いはない、という事はしばらく昇進する事はない、出兵案を提出したのはそういう不満を持つ高級軍人達、という事ですか」
「そうだ。彼等は先日の戦いを見て、自分達の出番だと勘違いしているのだ。連中は私のところに出兵案を持って来た。本部長、知っているだろう?」
「はい。私の所にも持って来ました。国防委員長に見せるといい、と私が答えたので了承されたと思ったのでしょう。今の現状を考えれば了承などする訳はないのですが」
そう答えたグリーンヒル本部長の顔は暗かった。先日の戦い…自分に原因があると思っているのだろう…トリューニヒトがテーブルの上に置いた作戦案のコピーに目をやると、立案者の名前が記載されていた。ムーア、ホーランド、
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