第二章
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「あと占いのこと。そうしたことをね」
「私に教えてくれるの」
「色々と教えたいけれど」
だがそれでもだというのだ。
「それは全部ね」
「十八になってからなのね」
「そう。全部唯ちゃんに教えてあげるから」
こう唯に言う。自分の娘に。
「それまで待っててね」
「うん、それじゃあ」
素直な性格でしかも小百合を愛している唯は彼女の言葉に頷くだけだった。父に話すこともなくそのまま歳月が過ぎる。しかし。
十八になった時に何を教えてもらえるのか、そのことは気になった。それは学校にいても店にいても家にいても同じだった。
どうしても気になる。しかもだ。
小百合は常連の客や取引先の相手に対してはその目をじっと見る癖がある。見られた相手はまるで魅入られたかの様に彼女の言葉に従う。そして彼女の言う通りにするのだ。
また自転車や車を使わなくとも移動は速い。買い物に行って来たと思えばすぐに帰って来る。考えてみれば変わったことが多い。
お店に売られているものも普通のアクセサリーの他に何か色々と運を招くというものが売っている。そうしたものを見ていると。
一歩間違えると霊感商法だ。しかし然程高くないうえでデザインも可愛いので皆幸運がついでに来るなら、ということで買うだけだった。
とにかく小百合には奇妙なことが多いことも気になっていた。だが人をあまり疑う性格ではない唯はここでも母に聞かなかった。
それで家の中で小百合と共に家に来た黒猫のポーをあやしながらポーにこんなことを言うだけだった。
「何かお母さんってね」
「ニャーーー」
じゃらしのおもちゃで遊びながらの言葉だ。
「凄いよね。行き来速いし」
「ニャア」
ポーは鳴き声で応えるだけだ。黄色い目がその都度動く。
「それに色々なもの売ってて占いできるし。どうして売ってるのかな」
「ニャア」
ポーはじゃらしに前足をしきりに向けながら鳴き声で応える。
「それが気になるけれど十八の時に」
「ニャン」
急にだった。ポーの動きがあらたまった様に見えた。
「色々教えてくれるっていうから」
「ニャンニャン」
ポーは何故か唯の前に座り頷きだした。
「楽しみにしてるね」
「ニャア」
今度は右の前足を掲げる。唯はそれを見てじゃらしで遊んでいると思った。それだけしか思わなかった。
そうこう話している間に遂に唯は十八になろうとしていた。その彼女にだ。
小百合は楽しげに笑ってこう言うのだった。
「もうすぐね」
「うん、十八になったらよね」
「色々とね」
「教えてくれるのよね」
「そうよ。お店のことも」
まずはこのことだった。
「それに他のことも一杯ね」
「どうして夜の地下のお部屋に行くかってこともよね」
「全部教えてあげるから」
当然そ
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