第二章
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のこともだというのだ。
「あのお部屋の中でね」
「あのお部屋入ってもいいのね」
唯はこのことだけで嬉しかった。地下の部屋は小百合が家に入ってから作らせたもので鍵は彼女が持っている。誰も入られないのだ。
しかしその部屋に入られるだけでも唯には嬉しかったのだ。
「そうなのね」
「だから十八になるのをね」
「うん、待ってるわ」
こう笑顔で応える唯だった。本当に十八になるその時が待ち遠しかった。
しかしその楽しみにしている中で急にだった。唯が店で番をしていると。
店は弊店間際でもう客はいない。その店に形の悪い坊主頭の猿そのままの顔の柄の悪い男がやって来た。
しかも顔が赤い。唯はその男を見てすぐに顔を顰めさせた。
(酔っ払いのチンピラね)
それだとすぐに直感してのことだ。
(最悪。お客さんいないからまだましだけれど)
客に迷惑がかかる。そうならないだけだというのだ。
(それでも何あれ。お店の雰囲気壊すし)
それにだった。
(お店の中で暴れないかしら。もうすぐ閉店なのに)
「おい姉ちゃん」
その柄の悪い酔っ払いのチンピラ、どこぞの悪名高いボクサーにそっくりの彼がやはり柄の悪い仕草で言ってくる。
「酒あるか」
「お酒ですか」
「そや。マッコリあるか」
それはどうかというのだ。赤い顔で。
「あるんやったら出さんかい」
「あの、うちは」
その客の酒臭い匂いに内心嫌なものを感じながら唯は答える。
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