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金木犀の許嫁
第二十五話 赤い自動車その三

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「何があっても絵になり」
「華がありますね」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「今は強いですから」
「尚更いいですね」
「阪神は自然とです」
「そうした魅力があるチームですね」
「そこが巨人と違います」
 万年最下位のこのチームとはというのだ。
「あのチームはかつて人気がありましたが」
「強かったですし」
「ですがそれはマスコミの誇大広告によるです」
「作られた人気でしたね」
「そうでした」
 まさにというのだ。
「阪神とは違い」
「だからネットが普及しますと」
「その実態が明らかになり」
 巨人のそれがだ、このチームは長きに渡って邪悪の限りを尽くしてきたのだ。その悪事だけで本が出来る程だった。
「そしてです」
「ああしてですね」
「人気が落ちてマスコミが斜陽になり」
「親会社にお金がなくなって」
「他チームから選手を掠め取ることが出来なくなり」
 巨人の得意技だったそれもというのだ。
「育成のノウハウもです」
「巨人はないですね」
「かつてはありましたが」
 それでもというのだ。
「しかしです」
「補強ばかりして」
「そうしていたので」
 だからだというのだ。
「忘れてしまい
「設備投資もですね」
「怠っていて」
 補強という名の他チームからの強奪にばかり気を向けていてだ、巨人はそうしたことを忘れてしまっていたのだ。
「スタッフもです」
「トレーナーの人とかですね」
「まともな人がいなくなり選手の教育も」
「今半グレ集団みたいになっていますね」
「球界の紳士なぞです」 
 この言葉はというと。
「かつては信じ込ませることも出来ましたが」
「マスコミの宣伝で」
「そうでしたが」
 それがというのだ。
「今ではです」
「もう見てわかりますよね」
「はい、自称番長が出てから」
 それからはというのだ。
「最早です」
「マナーも悪くなって」
「悪い遊びばかりしていて」
「練習もしなくなって」
「そうなってです」
 それでというのだ。
「今はあの有様です」
「マナーも悪くて練習もしない」
「チームプレイもなく」
 これも忘れ去ったのだ、巨人は。
「ただグラウンドにいるだけです」
「だから弱いですね」
「そして何の魅力もないので」 
 幸雄はこのことにも言及した。
「今では人気もです」
「十二球団最下位ですね」
「ドームはいつも閑古鳥が鳴いていまして」
 そうした状況でというのだ。
「かつてのパリーグ以上とのことです」
「あっ、昔はパリーグ人気なくて」
 夜空は幸雄の今の話に自分が聞いたことを思い出して言った。
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