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金木犀の許嫁
第二十五話 赤い自動車その二

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「私は好きではありません」
「真田家の赤ですね」
「その赤が好きです」
「赤は赤でもですね」
「様々ですから」
「真田家の赤ですね」
「義に生き死力を尽くして戦い」
 そうしてというのだ。
「そのうえで忠義も友情も信義も忘れなかった」
「その赤ですね」
「その赤を愛しています」
「それでお車もですね」
「赤にしています」
「そうなんですね」
「あと赤といいますと」
 白華がここでこんなことを言った。
「広島東洋カープもですね」
「あのチームもそうですね」
「楽天もですよね」
「楽天は少し違う赤ですね」
「クリムゾンレッドですね」
 幸雄は白華に微笑んで答えた。
「楽天の赤は」
「赤は赤でもですね」
「えんじ色とも言う」
「少し濃い赤ですね」
「はい」
 そうだというのだ。
「広島の赤とはです」
「そうですよね」
「そして真田家の赤はです」
「カープの赤ですね」
「どちらかといいますと」
「そうですよね」
「あの赤は好きです、ですが私は阪神ファンです」
 幸雄は笑ってこうも言った。
「あのチームも嫌いではないですが」
「応援しているチームは違いますね」
「阪神です」
「私達皆野球はそうですよね」
「阪神ファンですね」
「関西ですし観ていていてです」
 試合だけではない、チームのあらゆることを見ているとというのだ。野球は試合のことだけではないのだ。
「絵になりますし」
「あのチームはそうですよね」
「何があってもです」
「勝っても負けてもで」
「阪神は絵になります」
 白華は笑顔で話した。
「まことに」
「それが阪神なので」
「幸雄さんもお好きですね」
「住んでいる兵庫県に本拠地があり」
 西宮の甲子園球場である。
「大阪に球団の会社があるので」
「野田阪神ですね」
「はい、幸村公が必死に戦った」
 大坂の陣においてというのだ。
「大阪に会社もあるので」
「阪神がお好きですね」
「そうなのです」
「そうですか」
「阪神はです」
 このチームはというのだ。
「愛情も感じています」
「そうなのですね、あと今年も絶好調なので」
 白華は笑顔でこうも言った。
「きっとです」
「今年も優勝ですね」
「そうなってくれますね」
「阪神は素晴らしいチームですよね」
 佐京も笑顔で言ってきた。
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