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金木犀の許嫁
第二十五話 赤い自動車その一

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                第二十五話  赤い自動車
 幸雄の愛車が家に来た、それは八条自動車の軽自動車で真昼は赤い色のその車体を見て駐車場で彼に言った。
「八条自動車の車ですか」
「はい、やはり自動車はです」 
 幸雄は微笑んで答えた。
「こちらだと思いまして」
「八条自動車ですね」
「マツダやトヨタと並んでです」
「日本を代表する自動車会社で」
「世界的にです」
 日本だけでなくというのだ。
「お仕事をしている」
「凄い会社ですね」
「軽自動車以外も作っていますし」
「トラックとかもですね」
「非常に優れた企業ですので」
「グループの企業ですし」
「そのこともありますね」
 幸雄は笑って否定しなかった。
「やはり」
「そうですね」
「ですから」
「幸雄さんの愛車はですね」
「こちらです」
 八条自動車の車だというのだ。
「そうなのです、燃費はよく何かと整っていて運転しやすく」
「いい車ですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうです、あと車体の色は」
「赤ですね」
「真田家ですから、私も」
「この色以外ないですね」
「武田家にお仕えしていた頃から」
 その頃からというのだ。
「まさにです」
「このことはですね」
「変わりません」
「赤は真田家の色ですね」
「武田家の色が赤でしたので」
「武田家の家臣になって」
「そうなってです」
 それからというのだ。
「赤備えを受け継いで」
「武田家が滅んでも」
「それからもです」
「大坂の陣でもでしたね」
「そうでしたね」
 真田幸村が勇名を馳せたこの戦でもというのだ。
「幸村公は赤い具足に陣羽織で」
「足軽の人達もですね」
「誰もがです」
「赤備えで戦って」
「勇名を馳せました、ですから」
 そうしたことがあったからだというのだ。
「私も何かとです」
「赤なんですね」
「真田家全体が」
「赤ですか」
「そうです、ですがその赤は」
 幸雄はこうも言った。
「間違っても共産主義の赤ではありません」
「ソ連とかが赤でしたね」
「あの赤は労働者の血の色とのことですが」 
 それで赤をイデオロギーの色としているのだ。
「無闇にです」
「人を犠牲にしますね」
「あの思想は」
「革命の為と言って」
 そのうえでというのだ。
「多くの犠牲を出します」
「それが共産主義ですね」
「自分達と違う思想も否定しますし」
「そこからもですね」
「犠牲を厭いません」
「だから危険ですね」
「ですからあの赤は」
 共産主義のそれはというのだ。
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