第八章
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「そうさせてもらう」
「あんたいい奴だな」
「どうかな。化かしているかも知れないぞ」
「化かす？狐だからか？あれっ」
自分の言葉にだ、桜井はおかしなものを感じて言った。
「何で俺今こんなこと言ったんだ」
「化かすとか」
「ああ、どうしてなんだ」
「面白いな。だがそれがどうしてかまたわかる」
「そうなんだな」
「もうすぐその時が来るからな」
「だからか」
「ああ、だが安心しろ」
浮世は微笑みだ、桜井にこうも言った。
「あんたは仕事もお姉さんとの生活も守れる」
「どっちもか」
「そのままな。何があってもな」
「そう言える根拠何だよ」
「あんたのことを知っていることだ」
まさにそのことからというのだ。
「言える」
「そうなんだな」
「だからな」
それでというのだ。
「安心してだ」
「そうしてか」
「何でもやっていけ」
「何かよくわからないけれどな」
桜井は今は浮世のことを何も知らない、全くの初対面の状態だ。そしてその状態のまま言うのだった。
「安心していいんだな」
「ああ、何があってもな」
「そう言われるとな」
浮世、彼にというのだ。
「安心出来るな、それであんた俺のこと知ってるんだよな」
「名前もな」
「今言った通りな。それであんたの名前は」
桜井は聞こうとした、だが。
自分からだ、この名前を出した。
「浮世英寿か」
「そうだ」
浮世はその通りだと微笑んで答えた。
「それが俺の名前だ」
「そうだな。何で俺知ってるんだ」
「知っているものは知っているものだ」
浮世は彼の名前を知っていて言ったことに驚いている桜井に微笑んで言った。
「覚えているものだ」
「覚えている？」
「ああ、意識で忘れていてもな」
それでもというのだ。
「無意識でな」
「覚えているんだな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そうしたものだ」
「そうなんだな」
「だからだ」
それでというのだ。
「あんたもな」
「覚えているんだな」
「知っているということだ」
「あんたの名前をか」
「ああ、それでいい湯だな」
浮世は笑顔で自分達が今入っているそちらの話もした。
「本当にな」
「あの悪魔、バイスが言っていたけれどな」
「いい湯だな」
「これはまた来てな」
そうしてというのだ。
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