第七百五十八話 偉いと思えるのはその八
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「むしろそうした場面こそです」
「歌って踊らないと」
「そして音楽もないと」
そうでなければというのだ。
「駄目なのです」
「そうよね」
「マウリアでは」
「推理ものもそうね」
「ホラーでもです」
このジャンルでもというのだ。
「歌って踊ります」
「悪霊や恐怖の殺人鬼が謡って踊るのはな」
ダンは自分が観たマウリア映画の話をした。
「驚いた」
「そうですか」
「かなりな」
「それが普通とはですか」
「思わなかった」
到底という言葉だった。
「俺はな」
「そうですか」
「やはりな」
どうしてもというのだ。
「マウリア映画のそうしたところはな」
「抵抗がありますか」
「抵抗とまではいかなくても」
それでもというのだ。
「異文化というものをな」
「感じられましたか」
「そうなっている」
実際にというのだ。
「どうもな」
「それはですね」
セーラはダンの話が一段落したところで述べた。
「連合の人達なら」
「大抵だと思う」
「連合は連合、マウリアはマウリアですね」
「まあそう言う連合も多民族だからな」
そうした国家だからだというのだ。
「文明も多くある」
「複数文明国家ですね」
「一つの文明だけでなくな」
国家の中にある文明はというのだ。
「モンゴル帝国の様にな」
「その中に複数の文明を抱えていますね」
「それも植民地でなくだ」
「正式な領土の中に」
「同じ立場の市民がが」
その彼等がというのだ。
「その中にある」
「そうですね」
「そこがだ」
「連合ですね」
「イギリスもかつては複数の文明があったが」
「植民地でしたね、我がマウリアもです」
セーラはこの時も自国の話をした。
「かつては」
「イギリスの植民地だったな」
「千年以上昔のことですが」
「小公女でも書かれているな」
「その縁で」
それでというのだ。
「我がシヴァ家もイングランドやスコットランドと縁があります」
「嫌な奴等だな」
「そうよね」
テンボとジャッキーは即座に忌々し気に言った。
「エウロパの中でも特に嫌な連中だからな」
「イングランドとかの連中はね」
「あんたも大変だったな」
「あんな連中と一緒だと」
「いえ、別に」
これといってとだ、セーラは二人に微笑んで答えた。
「至って礼儀正しく穏やかな」
「そうした連中か?」
「あいつ等は」
「どうも連合はエウロパへの偏見が極めて強く」
このことはセーラはよく感じている、兎角連合はエウロパに対して攻撃的な批判をしてばかりであるからだ。
「正しい姿が伝わっていません」
「そうか?」
「違うわよね」
二人は自覚なく顔を見合わせて話した。
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