暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第209話:届かぬ説得
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は目にした。

「ッ!? 調ちゃん、伏せろッ!」
「えっ?」
「調ッ!?」

 突然颯人が叫んだので、何の事か分からず動きを止めた調。対する切歌は本能的に危険が近付いている事に気付いたのか、咄嗟に調の体を押し倒した。直後先程まで調がいた場所を、サーベルの刃が通り過ぎ切歌の背中を僅かに切り裂く。

「ぐぅっ!?」
「切ちゃんッ!?」
「だ、ダイジョブ……ちょっと掠っただけデス……」

 実際切歌は背中の表面を僅かに切り裂かれただけで済んだ。出血も酷くはないし、直ぐに自力で立てる程度のダメージにしかなっていない。
 だがその間にミラアルクは、現れたベルゼバブにより腕を掴まれ引き摺られるようにその場から動かされていた。

「ま、待ってくれッ!? まだ稀血が……」
「それならもう彼女らが既に回収した」
「え?」
「お待たせ、ミラアルクちゃん」

 新たに響く声。それはメリハリの利いたボディに黒い肌のエキゾチックな雰囲気を放つ妖艶な黒髪の女性だった。唇に引いたルージュが一際目を引く女性の傍には、ケースを腰掛けにしているエルザの姿も見える。

「ミラアルク、大丈夫でありますか?」
「エルザ……それにヴァネッサも……」
「ミラアルクちゃんが騒ぎを起こしてくれてる間に、エルザちゃんと一緒に目的の物は確保できたわ」
「後はここからずらかるだけであります」

 それは本来であれば喜ぶべき情報であった。実際先程まではミラアルクも稀血さえ手に入ればそれでいいと思っていた。
 だがここに来て彼女の中には迷いが生じていた。先程調と切歌から齎された、彼女達の体を治す事が出来る錬金術師。その人物に頼れば、もうこれ以上こんな連中の小間使いなどしなくてもいいのではないか?

 その迷いを感じ取ったのかは不明だが、ベルゼバブは早々に3人をその場から離れさせた。

「ワイズマン様からの命令だ。お前らはさっさと帰れ。ここに居ても邪魔になる」
「させると思ってんのかよ」

 ミラアルクだけでなく、エルザと颯人達は初めて見る顔のヴァネッサ。ここで彼女達を逃がせば後々面倒な事になりそうだと、颯人はこの機に彼女達との事に関しては決着を付けようとベルゼバブの妨害を押し退けて3人ないし誰か1人だけでも確保しようと動いた。だがその彼の前に、大剣を振り下ろすオーガが現れる。

「ゼアァァァァァッ!」
「ッ! チィッ!」
「ハヤトッ!」

 ギリギリのところでオーガの存在に気付いた颯人は、進行を止め転がる様にしてオーガの一撃を回避。そこに更にオーガとベルゼバブからの追撃が来そうなのを見て、ガルドはガンモードにしたマイティガンランスの砲撃で敵幹部の2人を遠ざける。

「颯人さんッ!」
「無事デスかッ!」
「あぁ、助かったガルド。し
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