3話
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に角、そういう経緯なのでシロナさんが言ってる事に心当たりは全くないのだが、それを説明するのは面倒臭い。
というか、出来る気がしない。
俺は人見知りする相手には長い会話なんて出来ないのだ。
なので、適当に話を合わせよう。
「ああ、構わない」
「貴方は、本当に余計な事は言わないのね。けど、それでいて優しい人」
「俺が優しいだと?」
「あら、自覚はないのかしら?態々、バトル中に私を育てるなんて敵に塩を送るような真似をして。いいのかしら。次に戦ったら私が勝つわよ?」
「構わない。こいつらも喜ぶ。」
育てる???シロナさんを俺が???
何を言ってるのかイマイチ理解出来ないが、シロナさんに倒されるならこいつらはマジで喜ぶ。
何せ、レッドに倒された時は悔しそうにしながらも目はキラキラと輝かせて早く再戦させろと煩かったからな。
こいつら強すぎて普段は舐めプしかしないから、基本的に強敵に飢えてるんだよなぁ。
「ふふ、そうなの。貴方は、何処までもポケモンの事しか考えてないのね。通りで勝てない訳だわ」
そんな事ないです。
最近は現状から逃げる事しか考えてないです。
そういえば、シロナさんに勝ったということは現在のシンオウチャンピオンって俺って事になるんだよな。
はぁ、鬱だ。益々逃げたい。
でも今はシロナさんが微笑んでるからヨシ。
とても可愛い。
それと。
「敵とは思ってないからな」
「...それは、私なんて眼中にないという事かしら?」
えっ、そう捉えるの?
貴女無敗のシンオウチャンピオンですやん。
眼中に無いわけないですやん。
あ、今さっき俺が負かして無敗でもチャンピオンでも無くなったんだった。
これはやばい。何でもいいから兎に角言い訳せねば。
「違う。俺は貴女を尊敬している」
「え?貴方が私を?」
「そうだ」
「だから、出来れば仲良くしたい」
「...私、今口説かれてるのかしら?」
「違う」
テンパって変な事言ってもうたぁぁぁ!!!
何だよ仲良くしたいって!
バトルで負かした後にいう事ちゃうやん!
「ふふ、冗談よ。でも貴方程の人に尊敬されてるだなんて、何だか信じられないわ」
「貴女は自分で思ってる以上に凄い人だ」
ああ、シロナさんが優しい人で本当よかった。
きっと、心の中では訳の分からない事を言ってる俺に対して、怒っている筈なのにこの大人の対応は流石出来る女ですね。
心なしかシロナさんの顔が赤らんでいるからね。
いや本当申し訳ない。
「...ありがとう。貴方と話せてよかったわ」
「ああ」
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