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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
真夜中の冒険
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に、ルークは口元に手を当ててこちらをじっと眺めながら、考え込んでしまった。迷惑だったかな、と思いつつも返事を待っていると、突然ルークは私の右腕を両手で触り始めた。
「へっ!?」
 二の腕から指先にかけて、何かを確認するように順番に触っていく。昔よりも随分大きくなった彼の手をまじまじと眺めながら、私は彼の意図が何なのかが理解できずただ立ち尽くしていた。
「あのー……、ルーク?」
 おずおずと私が口を挟んだ途端、ぴたりと手を止めるルーク。数秒後、何かに気づいたかのようにはっと顔を上げた。
「あっ、ごっ、ごめん!!」
 さっきの戦闘よりも素早い動きで私から離れると、ルークは慌てた様子で謝った。
「いや、別に謝らなくていいんだけど、何をしてるのかなって思って」
「あ! えーと、つまり、ミオが普段どういう戦い方をしてるのか、筋肉を触って確かめようかと思って」
「それで何かわかるの?」
「武器って力の入れ方によって動かし方が変わるんだよ。僕たちみたいな近接戦闘系は特にね。ミオが普段武術を使うときの身体の動かし方と、師匠の鉄の爪を組み合わせた場合、どこに力を入れるか、逆に力を抜く場合はどのタイミングかを把握すれば、きっとミオも鉄の爪を使いこなせるようになるんじゃないかと思って」
「そんなことがわかるの!?」
「今の仕事に就いたばかりの時、同僚や先輩たちの戦い方を自分なりに参考にしたんだ。自己流だからはっきりとこれが正しいとは言えないけどね」
「それでもいい!! 是非教えて!!」
 ずっと師匠の武器を扱えないままでは、この先魔王になんか勝てっこない。けどもしこの武器を扱えるようになれば、今よりも一回り成長するかもしれないのだ。
「……僕としては、ミオには戦いなんてしてほしくないんだけどね」
「え?」
「何でもないよ。じゃあ、また魔物が来たら武器の使い方を教えてあげるよ」
「ありがとう!!」
 ルークと約束を交わした私は、自分でも驚くくらいの意気込みで返事をしたのだった。


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