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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
真夜中の冒険
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に突然詰め寄られ、ルークはたじろいだ。
「べ、別に強くなろうと思ってなった訳じゃないよ。割のいいバイトが魔物退治しかなくて、ずっとそればっかりやってたから……」
「それでも、あんな強そうな魔物を一人で倒すなんて、すごすぎだよ!!」
「それはミオがいるから……じゃなくて、少しでもたくさんバイト代を稼ぎたかったから、他の人より魔物を倒す数が多かっただけだよ」
 そう謙遜しているが、あれほどの動きは一朝一夕で身につくものではない。相当努力してきたはずだ。
 結局私の出番などなく、戦闘はあっけなく終わった。この調子で行けば、意外に早く洞窟へとたどり着くことが出来るかもしれない。
「ところでミオ、君は何か武器はないの?」
「えっ!?」
 突然ルークに指摘され、私は胸がどきりとした。師匠からもらった武器ならあるが、未だに使いこなせてないなんて知ったら、同じ師を持つ武闘家としてどう思うのだろうか。
 けれど下手にはぐらかすこともできないので、私は渋々鞄の中から鉄の爪を取り出した。それを見たとたん、ルークの息を飲む音が聞こえた。
「……それ、師匠のだよね?」
「うん。師匠から託されたの。でもまだ使いこなせてないんだ」
 自虐的にそう溢すと、ルークの目が鋭く光った。
「……ミオ。それ、本当にそのままでいいと思ってる?」
「うっ……」
 ルークに指摘され、私は二の句が継げなかった。確かにこんな立派な武器を持っているのに使わないなんて、宝の持ち腐れ以外の何物でもない。
「だ、だって私……、武器で戦うのが苦手なんだもの」
 口を尖らせて言うと、ルークは大きくため息をついた。
「ミオ。せっかく師匠の武器が手元にあるのに、苦手だからってそのままにしていいと思ってるわけ?」
「……!!」
 ルークに言われて、ハッとなる。
「魔王を倒そうとしてる武闘家が苦手なものから目を背けるなんて、師匠が知ったら悲しむんじゃないかな」
 ルークの言うとおりだ。今の私が師匠の武器を持つ資格なんてない。もし師匠がこの場にいたらきっと呆れられてしまうだろう。
「ごめん。怒ってるわけじゃないんだ」
 私が自己嫌悪に陥っていると、すまなそうにルークが謝った。
「……ううん、謝らないで。ルークの言う通り、こんな姿を師匠に見られたら、破門されると思う。私が間違ってた」
「ミオ……」
 ルークはまだ何か言いたそうな様子だったが、結局何も言わなかった。そんな彼に、私は思いきって尋ねる。
「ルーク、お願いがあるんだけど、ラーの鏡が見つかるまで、私に武器の扱い方を教えてほしいの」
「いいけど……。僕も師匠の武器のことは良くわからないよ?」
「うん……。でもルークは今武器を使って戦ってたでしょ? だから、少しでも参考になるかなと思って……」
「……」
 私のお願い
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