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蛮人と思えば
第一章
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になる、流石に長城の要である山海関を破られるとは思っていないが。
 だが明の判断は決まった。日本を遼東に入れる訳にはいかなかった。
 すぐに李朝に援軍を送ることになった。早速大軍が北京を発ち朝鮮に入った。
 その大軍を率いる将の中に李如海という者がいた。その彼が部下達に言う。
 大軍は粛々と進む。李は荒野を進む彼等を見回しつつ言うのだ。
「我が軍は火器もふんだんにあり数も多い」
「しかも槍や剣も強いです」
「鎧もいいです」
 数と装備には自信があった。それは部下達も言う。
「しかし倭寇は強かったですな」
「鳥銃に刀です」
「あの二つで倭寇はふんだんに暴れてくれました」
「ですか」
「そうじゃ。日本は強い」
 李は決して彼等を侮っていなかった。
「朝鮮の者達は侮っておったのだろう」
「それであえなく北京も陥落しましたか」
「そうなのですな」
「そうじゃ。油断はできん」
 李は日本軍のことを言う。
「だからここはじゃ」
「はい、用心をしてですな」
「戦うというのですな」
「女真共と同じ蛮人にしても」
 彼等にしても日本は蛮人とは思っていた。確かに彼等を侮っていないにしても。
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