第二章
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「お姉ちゃん私よりずっとお仕事してるからね」
「だからですか」
「そう言われますか」
「ええ、大学の方もあるしね」
「そちらもご多忙なので」
「尚更ですか」
「そうよ、幾ら財閥を継ぐといっても」
それでもというもだ。
「無理はね」
「禁物だと」
「左様ですか」
「ええ、くれぐれもね」
こんなことを言っていた、だが彼女も普通の日常を過ごしていた。動画配信者として人気もあった。
吾妻道長は仕事を終えていた、そして仕事帰りにコンビニに寄ったがそこで五十鈴大智と出会って彼の方から声をかけた。
「また会ったな」
「よく会いますね」
五十鈴は無表情で応えた。
「ここで」
「そうだよな」
「これも縁ですね」
「ああ、それであんた大学生だったな」
「貴方の後輩ですよ」
「そうだったな」
「ええ、ただ学部は違いますね」
それはというのだ。
「同じ大学でも」
「そうだったな」
「それで大学の帰りですが」
「俺は仕事帰りだ」
「工事現場で働いておられますね」
「今もな。いい仕事だよ」
吾妻は五十鈴ににこりともせずに応えた、不愛想なのは別に五十鈴が嫌いだからではなく彼の元々の性格からのことだ。
「何かとな」
「そうですか」
「ああ、それでな」
吾妻はさらに話した。
「大学の講義もクイズもか」
「頑張っています」
「ならそうしろよ、それじゃあな」
「ええ、また」
「またここで会ったら宜しくな」
こう言って自分のものを買ってだった、吾妻はコンビニを出て自分の部屋に帰った。そして五十鈴もそうした。
晴家ウィンは自分のステージの後でスタッフ達にスポーツドリンクを振る舞って彼自身も飲んでから言った。
「やっぱり汗をかいた後はな」
「飲みものですよね」
「ちゃんと水分補給することですね」
「そうだよ、打ち上げで酒飲んでもな」
そうしてもというのだ。
「まずはな」
「スポーツドリンクですね」
「それかお茶ですね」
「そうだよ、ちゃんとした水分をな」
それをというのだ。
「摂ってな」
「それからですね」
「お酒ですね」
「そうだよ、じゃあ後片付け終わったらな」
「それからですね」
「お酒ですね」
「いい店紹介するな、後な」
晴家は自分のスマートフォンを出した、そしてまた言った。
「鞍馬ちゃんの動画配信されてるぜ」
「あっ、そうですか」
「じゃあ観ますか」
「後片付けしてからな」
晴家はこれは忘れていなかった。
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