第二十一話 王達の来訪その十三
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「あんたもいい奴だ」
「そう言う根拠は何だ」
「目だ」
彼のまさにそれを見て言い切った。
「目が言っている」
「私の目がか」
「まっすぐに見据えている、それも淀みなくな」
「そうなのか」
「多くの苦難、苦渋があったな」
こうも言った。
「そしてそれに耐えて目的を見失かったな」
「それは」
「その通りです」
ここでハスティーが言って来た。
「兄さんは泥にまみれてもです」
「屈辱の泥だな」
「それでもです」
そうなってもというのだ。
「諦めず」
「戦ったな」
「そうしてきました、王として」
「それがわかる、だから俺も言う」
「嘘偽りなくですね」
「その通りだ」
まさにというのだ。
「そうしている」
「そうですね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「あんたの兄さんもな」
「いい人とですね」
「俺は言う」
「そうしてくれますか」
「そして仲間だとな」
こうも言うのだった。
「何度も言う」
「そう言ってくれると僕も嬉しいです」
「事実を言ったまでだ」
これが桃井の返事だった。
「だからだ」
「いいんですね」
「感謝の必要はない、だがするなら受け取る」
その感謝をというのだ。
「そうさせてもらう」
「それでは感謝させてもらいます」
「ではな、あとあんたもだ」
ハスティーにもだ、桃井は顔を向けて告げた。
「同じだ」
「僕もですか」
「邪悪の王と言うが」
そう称しているがというのだ。
「それでもな」
「違うといいますか」
「澄んだいい目だ」
やはり正直に言った。
「あんたの目はな」
「そうですか」
「兄弟だったな」
ハスティーに兄のラクレスを見つつ言った。
「兄弟揃ってだ」
「いい目をしているのか」
「ああ、苦難があっても耐えて乗り越えてきてだ」
そうしてというのだ。
「目的を見失わずやり遂げようとする」
「そうした者の目か」
「そうだ、邪悪でも暴君でもない」
そうでなくというのだ。
「本物の王だ」
「僕達は」
「その目をしている」
「王の目ですか」
「そう言ったが違うか」
「そうなる様にしていきたいです」
これがハスティーの返事だった。
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