第13話:遅参勇者と焦る魔女A
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!?レベルがまったく足りない状態で魔王と戦えって言うのか!?そんな事も解んないアホの功を焦った暴走を止めないお前らもお前らだよ!」
マドノの啖呵に顔面蒼白となるマシカル。
「ちょっとおぉーーーーー!空気読めよぉーーーーー!」
衛兵達の白眼視と嫌悪を買い、激しい屈辱心と反骨心に苛まれたマシカルは、
「マドノ!そろそろ牛乗りオーガを倒しに往こう!」
その途端、マドノはマシカルを思いっきりビンタした。
「阿呆!まだレベルがそこまで達していないだろ!お前は馬鹿か!?」
そんなやり取りを観た衛兵達は、衛兵は愚か、最早野盗すらをも通り越した強盗の如き態度でマドノに向かって陰口を叩いた。
「ふーん。お前らはそうやって他人の悲鳴を無視してまで雑魚としか戦わないんだぁー」
「雑魚狩りなら、そこら辺で勝手にやってな。俺達は手伝わないけど」
「その牛乗りオーガもグートミューティヒとか言う親切なプリーストが、とっくの昔に倒したんじゃねぇの!」
「魔王退治ならグートミューティヒ様に任せて、お前達臆病な雑魚狩りお坊ちゃまは家に帰ってママのお乳でも飲んでな」
衛兵達の品が無い高笑いの中、マドノは功を焦ってもう牛乗りオーガを討伐に向かわなければならないマシカルの無謀どころか自殺行為にも等しい(当然悪い意味での)蟷螂の斧そのものな行動に、
「……マシカル……愚かな」
と呆れて閉口する他無かった。
しかしこの時、マドノは牛乗りオーガの討伐推奨レベルを33と勘違いしてるだけであり(実際の討伐推奨レベルは22)、マドノ自身は言わずもがな、勇者パーティー全員が牛乗りオーガと戦うにはレベルが全く有り余っていた。
人型モンスターの中でも特上と呼ばれているデビル。
そんなデビルの1人であるタンジュは、牛乗りオーガとその手下が巣食う洞窟に(渋々)入る4人組の背中を気付かれる事なく視ていた。
「4人の平均レベルは30と言ったところか?牛乗りオーガでは荷が重過ぎるか……」
だが、何故かタンジュは洞窟に入ろうとしない。
「人間にしてはなかなか高い方だが……あれが本当に我らの仇敵か?」
タンジュは疑っていたのだ。
マドノが本当に星空の勇者なのかと疑念を抱いているからだ。
「確かにあのバッチは星空の勇者の証……だが、俺の鼻が『騙されるな!』と訴えている」
そして、牛乗りオーガに謝罪しつつ洞窟に入る事無くその場を後にした。
「すまないな牛乗りオーガよ。どうもこの疑念を祓わないと、星空の勇者とまともに戦えない」
タンジュはマドノの何を疑ったのか?
その答えは……まだ先である。
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