第四章
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「人を見てみればいいよ」
「人をですか」
「悪人ばかりじゃないよ」
そうした人間だけではないというのだ。世の中は。
「善人もいるからね」
「僕の周りもですか」
「そう。絶対にいるからね」
こう彼に話したのである。
「だから。そんなに暗くなることはないよ」
「そうなんですね」
「周りを見ればきっとわかるよ」
その時にだというのだ。
「光もあるからね」
「わかりました。じゃあ少し落ち着いて」
彼も微笑みになっていた。そのうえでの言葉だった。
「周り、見てみます」
「完全な孤独もないしね」
店長は微笑んだままこうも言った。その髭だらけの顔で。
「よく見てみてね」
「はい、そうします」
彼はその微笑みで応えた。そうしてだった。
それから学校で落ち着いて周りを見てみた。すると。
確かに彼を冷たい目、馬鹿にしている目で見ている人間は多い。しかしだった。
そうではない人間も確かにいた。そして。
一人の小柄な眼鏡をかけた少年、彼のクラスメイトの一人が隣に来ていた。そういえばこのクラスメイトに悪口を言われたこともなければ馬鹿にされたこともない。
むしろその逆で何度かいい言葉をかけてもらったり助けてももらっている。その彼がだ。
そっとだ。こう彼に言ってきたのだ。
「あの、今日ですけれど」
「今日?」
「一緒にお昼どうですか?」
微笑んで彼に誘いをかけてきたのだ。
「そうしてくれますか?」
「僕と?」
「はい、どうでしょうか」
「誘ってくれるんだ」
彼は昼もいつも一人だった。とにかく孤独だったのだ。
だがその彼にだ。そのクラスメイトは笑顔で誘いをかけてくれてきているのだ。
それを受けてだ。彼は信じられないといった顔でこうそのクラスメイトに問うた。
「僕と一緒に食べて」
「何か?」
「いや、僕と一緒にいていいんだね」
「?どうしてそんなことを言うんですか?」
「いや、僕に何があったかは」
「知っていてもそれが何かありますか?」
クラスメイトは微笑んで彼にこう返した。
「貴方という人について」
「僕にって」
「人間は生きていたら色々あります」
クラスメイトは穏やかな微笑みで彼にまた言う。
「嫌なことも困ったことも」
「そうしたことが」
「僕だって色々ありますよ」
「君も?」
「はい、本当に色々ありますよ」
にこりと笑ってだ。クラスメイトは彼に話していく。
「いいことも悪いことも」
「だからいいんだ」
「何があったかは勿論僕も見ていました」
だからだ。知っているというのだ。
「ですがそのことを嘲笑うことはないですし貴方という人をそれで評価はしないです」
「告白して失恋しても」
「それで人の評価は決まりませんから」
「
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