第七百五十八話 偉いと思えるのはその二
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「ただひたすらです」
「醜く生きるとか」
「心が餓鬼となり」
身体は人間のものであってもというのだ、セーラもまた人間は心によって人間となるものだとわかっているのだ。
「死してです」
「身体も餓鬼になってか」
「棲む場所もそこになり」
「苦しみ抜くか」
「一万五千年の間」
「そうなるか」
「餓鬼道は地獄道より辛いとも言われますが」
仏教ではそうした考えもあるのだ。
「まさにです」
「絶えず苦しむか」
「餓えと渇きに。その人もです」
「その二つに苦しんでいるか」
「今は」
「そうか、しかしそうなったのはな」
テンボは難しい顔で述べた。
「本当にな」
「自業自得です」
「そうだな」
「私もそう思います。人の美徳がです」
それがというのだ。
「ないのですから。一度の献血すらです」
「誰もしてるでしょ」
ジャッキーは献血と聞いてこう言った。
「献血位」
「そして人の役に立っていますね」
「献血もね」
その誰もがしていることもというのだ。
「売れるしね」
「売血ですね」
「そうだしね」
「当時の日本にはなかったので」
「売れないならなの」
「もうです」
それこそというのだ。
「しようとは微塵もです」
「思わない奴だったのね」
「ですから」
「餓鬼になったのね」
「八十年以上生きていてです」
その間というのだ。
「ただの一度もです」
「誰かの為に何かしたことないのね」
「感謝も反省も遠慮も」
「それで言われて怒って」
「叔父さんに。身体を壊していた」
「その人に殴ってやろうかとか言ったり掴みかかったり」
「その行いも見ました」
セーラはその目でと答えた。
「自制も出来ませんでした」
「自分の身体の悪い叔父さんにそれじゃあね」
「というか何でそんなこと言ってやったんだ」
ダンはこのことが不思議だった。
「そもそも」
「叔父さんが他の家は仲がよくていいなと言いまして」
「それで怒ったのか」
「自分達の家はいいとか反論しまして」
そうしてというのだ。
「そう言う自分はしっかりしていないと」
「言われてか」
「それで、です」
「そうしたことを言ったり掴みかかったりか」
「そうです」
「何処に怒る要素があるんだ」
ダンは心から疑問に感じてセーラに問うた。
「俺が聞く限りだとな」
「怒る要素はありませんね」
「全くない」
それこそというのだ。
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