写真立て
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、詳細は俺にもよく分からないんです」という言葉にも反応しない。
果たして覗き穴の見えないその仮面から、ちゃんと見えているのだろうか。そんな疑問を抱きながら、ハルトはコネクトの指輪からまた別の書類を取り出した。
「次は……あれ? これは……」
「何かありましたか?」
「教授。学生さんの提出資料の中に、これが混じってたみたいです」
「ありがとうございます」
それを受け取った教授は、読めない顔つきでそれを見落とした。
「おや、おや……そういえば、行っていませんでしたね」
声色だけでは、どんな心持での発言なのかは読めない。
「面倒ですが、優先しなければいけませんね」
「何かあったんですか?」
「ただの定例作業ですよ」
教授は何てこと無さそうに言った。
「教授職は、定期的に論文を提出する必要があるのですが、もうそろそろその次の論文を要求されていましてね。学長にも何度も延期していただきましたが、そろそろ発表が必要だそうです」
「そんな非常識な見た目をしててそこだけ俗物っぽいのはなんなんだろう……」
ハルトは小声で苦笑する。
教授は顎に手を当てる。
「困りましたね。ここ最近の、蒼井さんのサーヴァントたる事象の研究を論文にするわけにはいきません……また別のテーマを生命の深淵から探しましょう」
教授はぶつぶつと呟きながら、また書類の山岳地帯の奥へと突き進んでいく。
そんな教授を見送っていると、何かが揺れる音がした。
「……ん?」
この閉鎖空間における、バランスが崩れるような音。嫌な予感は、ハルトとえりかに同時に走った。
見上げると、すでに書類の山___その一部がすでに傾いていた。
そんなバランスを、永遠に維持できるわけがない。それを理解した途端、書類の束は次々に崩れていく。
「わあああああああ!?」
「えええええええっ!?」
ハルトとえりかは同時に悲鳴を上げた。
だが、それで重力が動きを止めるわけではない。
書類の雪崩は、容赦なくハルトとえりかへ襲い掛かってくる。
有効な指輪、ディフェンドかグラビティ……へ手を伸ばすよりも先に、ハルトは結梨を抱き寄せることを選んだ。
「結梨ちゃん危ない!」
自らの背中を結梨の盾にし、容赦なく降り注ぐ書類の雨へ晒す。
「いだだだだっ!」
紙でも雪崩になるとこんなに痛くなることに感銘を覚えながら、ハルトは書類の山を押し分ける。
「何でこんなになるまで放っておいたんだ……これ、人間が過ごす部屋じゃないでしょ……」
「教授、自分を人間として扱っていない節もありますからね」
えりかもハルトと合わせて頭を掻く。
同じく書類の山の下敷きになった彼女は、手頃なところから
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