写真立て
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授の頭まで含めた全身真っ黒には、少し身構えてしまう。
「これが貴方の能力ということですか。魔法を使うと聞いてはいましたが、実際に見ると驚くべきものですね」
教授はその黒い面をユニコーンに向けながら呟く。
彼の娘である結梨と手を繋いでいる時でさえ、彼はその仮面を外そうとしない。だが、結梨の方は面をしている父親に慣れ切っているようで、全く意に介す様子はない。
「可愛いお馬さんだ!」
結梨は叫びながら父から離れ、今まさに紙の崖を登っている最中のユニコーンを掴み上げた。驚くユニコーンの頭に触れながら、結梨は顔を輝かせた。
ユニコーンを掴まえ、頭を撫でまわす結梨を見つめながら、教授はハルトへ尋ねた。
「あれは生命なのでしょうか? それとも、機械なのでしょうか?」
「魔法を使って動く疑似生命です。生命と言っていいのかはちょっと分からないですね」
「ほう……貴方は私の研究テーマをここまで簡単に行えるのですね」
教授はさらに興味深そうに頷いた。
見れば、確かにユニコーンの動きは本物のウマ科の動物のそれに見える。生命の神秘について研究している彼にとっては、好奇心が尽きない現象なのだろう。
結梨になすがままに撫でまわされたユニコーンは、首を振って、彼女の手から書類の山へと飛び移った。
「ああっ……」
残念そうに眉を顰める結梨。そんな彼女とユニコーンを見て、ハルトはクスっと笑む。
「いいよ、ユニコーン。結梨ちゃんといてあげて」
書類の上のユニコーンは、ハルトと結梨の顔を見比べる。やがて段階的に崖からハルトの手元へ降りてきた。
「はい」
「ありがとう!」
ユニコーンが結梨の掌に渡ると、彼女は嬉しそうにユニコーンを掲げた。
結局使い魔の手を借りることが出来なくなったハルトは、えりかとともに書類整理へ取りかかろうとしたが、そのままユニコーンを撫でまわす結梨が、ハルトの腰に付いている指輪へ興味を示していた。
「すごい指輪が沢山……」
「ん? ああ、これね……」
ハルトはおもむろにルビーの指輪を取り出した。
「すごいきれいだね!」
結梨は目を輝かせながらルビーの指輪を食い入るように見つめている。
ハルトはそのままルビーの指輪を彼女の掌に置くと、ハルトと指輪の魔力のリンクが切れ、指輪が先月以前の普通のフレイムウィザードリングに戻っていく。
結梨はそれを指に取り付ける。彼女の小さな手に不相応に大きなルビーの指輪は、研究室の光を反射して彼女の顔に赤い模様を映し出している。
「指輪か……あ、そうだ」
ハルトはホルスターからコネクトを掴み取り、そのまま発動させる。
『コネクト プリーズ』
発動した魔法陣を、ラビットハウスの自室
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