第25話:夢の終焉……
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に座らせると、医者や僧侶達の立ち合いの許、例の女性にある物を無理矢理飲ませた。
「『思考と感情を取り戻せば必ず反動がある。洗脳中の行為が本来の意思と大きく乖離していた場合、精神にのしかかる負担は大きい。場合によっては崩壊の恐れもある』とお伝えした筈でしたが……」
「他に某達の出来る事は?」
「ですが―――」
「ぎゃぁぁあああああああああっ!」
嗚咽の様な悲鳴が部屋中に響き渡る。
間違い無い!
洗脳前の自分と洗脳後の自分が激しく激突しているのだ!
これは……凄い戦いになるぞ!?
「大丈夫か!?」
「ひぃ、ひぎぃいいい!あぐ、うぎぃ!」
「誰か!誰かヒールを!」
「ふぎ、うぎぃいいいい!えひぃ!」
爆裂魔法しか能が無い私には、何も出来ない。
ただ、洗脳前の感情が勝つ事を祈る事しか。
「アタシを見ないでで……こんな汚れたアタシを……」
「大丈夫です!そなたもまた戦場に立つ者!戦う者の誇り、その程度の事では汚れませぬ!」
「ウンコセインに洗脳されていたんだ!お前の意思じゃない!」
セツナとツキツバが必死に女性に声を掛けている……なら!
「貴女はもう直ぐ自由になる!誰の目も気にする事無く!好きな事が出来る!貴女の好きな事が!」
3日が経過した頃、女性はなんとか私とまともに会話が出来るくらいになっていた。ただし、記憶を掘り起こす様な事を言うと、直ぐに謝ってひどく落ち込んでしまう体たらく……
「あんた等は優しいよ」
なんですかその言い方は!?物凄く不安になる!
「こんなアタシを助けようとしてさ。でもその優しさが辛いんだ」
「……気にするな。ウンコセイン被害者の会として当然の事をしたまでだ」
「セツナ、そいつの前ではセインは禁句」
「アタシさ、村に戻ろうかと思ってるんだ」
「冒険者は引退するのか」
「うん。もう心が折れたよ。冒険とか、ときめきとか、人生とかに疲れたんだ。父さんや母さんのいる田舎で静かに暮らしたい」
その途端、ツキツバがどす黒い覚悟を決めた。
「では……その前に某と決闘をして貰えませんか?」
一撃だった。
たった一撃でツキツバは女性を真っ二つにした。
それを観たセツナが歯軋りし、ノノが何かを否定するかの様に耳を塞ぎならがその場で座り込んだ。
でも、誰もツキツバを責めなかった。
こいつは村に戻ると言ってどこかで死ぬつもりだ……そう確信したから、せめて戦士らしく死なせてやろうと言う配慮だと解っていたから。
私は……爆裂魔法が存在する事に物凄く感謝した!
と言うか……早く勇者セインに向けて爆裂魔法を放ちたい!
勇者セインに向けて爆裂魔法を撃ったら、本当に物凄く気持ち良い事だろう!
ああ、楽しみだ!
この時の私は、間違いなく目がハートになっていただろう。
……多分。
月鍔ギ
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