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邪教、引き継ぎます
第四章
34.また……
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ーモンとバーサーカーの少女がフォルを隠すように立った。
 が、フォルは「大丈夫です」と言ってカインに相対する。

「やあ、魔術師君。大灯台のときの僕の服代をサマルトリアに送ってくれてありがとね」

 講和希望の手紙は、僕の父さんが見た瞬間に破いたらしいけどさ――と、独特の人懐っこさのある微笑を浮かべながら肩をすくめた。
 一方フォルは、杖を握っている手に力を込めた。相変わらず仮面から垂れていた汗が、赤黒く光りながら落ちている。

「私たちがここに来るという情報をあなたは知りえなかったはずです。移動だって私たちよりも時間がかかるはず。なのに、なぜこうもぴったりのタイミングで現れるのでしょうか」
「もう一度君に会いたい気持ちの強さゆえ、かな。想いは野を越え山を越え〜」
「真面目に……答えてください」
「あはは、ごめん。まあ、移動時間の問題についてはラッキーだったかも。三人の中では僕が一番自由に動ける立場だから、あるところに行っていてね。ちょうど帰ってくるところで、割と近いところにいたんだ」
「私たちがここにいるということを知った手段は?」

 彼の微笑がやや薄れた。
 目線を上向け、考える素振りを見せた。

「僕は、友達のためならなんでもする。ヒントはそれだけ」

 これ以上の回答は引き出せない。そう思ってフォルは杖の先を彼に向け、構え直す。
 そこで、長い影が前に出てきた。

「サマルトリアの王子よ、私を覚えているか……いや、忘れたとは言わさぬ」

 祈祷師ケイラスである。

「普通に忘れたというか、誰? って感じだけど。新入りさんなのかい? あいにく、今大演説してた祈祷師さん、ということ以外はわからないよ」
「忘れた、だと」
「いや、だって仮面着けてたんでしょ。覚えてるわけないと思わない?」
「ふざけるなっ」

 ベギラマの大きな炎が、サマルトリアの王子へと放たれた。
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