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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十一話 憂い
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帝国暦486年11月1日14:35
ヴァルハラ星系、オーディン、銀河帝国、銀河帝国軍、ミュッケンベルガー元帥府、
ラインハルト・フォン・ミューゼル

 「副司令長官職…でございますか?」
「不服か?」
「滅相もございません、小官ごとき若輩者には過分な地位でございます。ですが、小官は大将であります、小官などより経験豊富で上級大将でもあるクライスト閣下や同階級ではメルカッツ閣下の方が適任ではないかと…」
今回の出兵の結果、艦隊司令官の中では、俺とメルカッツが大将に昇進、クライストが上級大将に昇進した。また、俺の艦隊に所属する分艦隊司令達も功績の顕著だった者は皆昇進した…叛乱軍一個艦隊を殲滅、もう一個艦隊を潰走に追い込み、更にもう一個艦隊を半壊させた…うまく後背を取る事に成功したからだが、自分でもああ上手く行くとは思わなかった。
「メルカッツか…確かに奴も用兵巧者ではある。だが、奴には過日の卿の様な事は出来んだろう。それに、メルカッツはどちらかというと守勢に強い男だし、クライストは命令があってこそ働ける男だ。両名とも臨機応変の才は卿に及ばぬであろう。副司令長官ともなれば、自らの裁量で軍を動かさねばならぬ時もある。兵達は勝てる指揮官を好む。それが卿を選んだ理由だ」
メルカッツは守勢に強い…そうかもしれない。でなければ先日の戦いの様に、俺をボーデンに向かわせたりはしないだろう。
「そこまで評価して頂けるとは…ありがとうございます」
「正式の任命は今少し先になるが、その心づもりで居てくれ。卿の率いる艦隊司令官達だが…卿の子飼いから選ぶといいだろう。昇進した者達が幾人か居る筈だ。知らぬ訳ではあるまい?」
「はっ」
俺の艦隊でもミッターマイヤー、ロイエンタールが中将に昇進している。他にもケスラー、メックリンガーも同様だった。他の推挙した者も昇進している…副司令長官、望むところだが、何故だ?今までミュッケンベルガーは副司令官を置かなかった。それがここに来て…何か理由があるのか?

 元帥府を離れ、俺はキルヒアイスと共にヒルデスハイム伯のところに向かう事にした。伯爵はクラーゼン元帥府にて幕僚副総監として軍務に就いているが、今日は休暇という事で在宅中、との事だった。
「伯に会うのも久しぶりですね、ラインハルト様」
「ああ、お元気であられるといいが」
「ミュッケンベルガー閣下とのお話、いいお話だった様ですね」
「何故そう思う?」
「噂になっています。元帥はラインハルト様を自らの後継者にするおつもりではないか…と」
「事実なら嬉しいが、事実でなければ好ましくない噂だな」
以前の様に、露骨に俺を悪し様に罵る輩も少なくなった。姉上がブラウンシュヴァイク公の庇護下にある事もあり、俺も公の与党と見られているからだ。それと、ヒルデスハイム伯の幕僚とし
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