激闘編
第九十一話 憂い
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?」
「ん、ああ、これは『銀河帝国建国史』という本だよ。ルドルフ大帝が銀河帝国を建国した頃の事が書いてある」
「へぇ…銀河帝国は昔から銀河帝国ではなかったの?」
「そうだね。銀河帝国が成立する前は、銀河連邦という国があったんだ。ルドルフ大帝はその銀河連邦の軍人だったんだ」
ルドルフ大帝がもの凄く偉いお方というのは知っていたけど、銀河連邦という国の事は家庭教師も教えてくれなかった。初耳だわ…。
「何故、ルドルフ大帝は銀河帝国をお造りになったの?」
「…当時の銀河連邦は腐敗が進んでいた。国の体制も、社会も。ルドルフ大帝はそれを変えたかったんだよ。社会に秩序と活力を、強力な指導者を…大帝は軍を辞めて、政治家になった。銀河連邦を変える為にね」
「そうなのですね…じゃあ、帝国が出来る前は、賄賂とかそういう物が日常茶飯事だったって事?」
「…そうだね」
「じゃあ、今の帝国を見たら、ルドルフ大帝はお嘆きになられるのじゃなくて?」
「おいおい…どうしてそう思うんだい?」
「園遊会ではそんな話ばかりだもの。お父様だって知っているでしょう?」
私がそう言うと、お父様は黙ってしまった。やだ、言ってはいけない事だったのかしら……。
「お父様、ごめんなさい」
「いや、お前の言う通りだよハイデマリー…でも、その事を外で言ってはいけないよ」
「はい」
「もっと聞かせてやりたいが、終わる頃には朝になっているだろう。興味があるのならまた今度聞かせてあげよう、今日はもう遅い、そろそろ寝所に入りなさい」
「はい、お父様」
無言になった時のお父様の顔は少し怖かった。あんな本を読んで、お父様は何を考えていらっしゃるのだろう。ラインハルト様、キルヒアイス少将、お父様といつまでも仲良くしてさしあげて下さい…。
11月15日09:40
オーディン、ミュッケンベルガー元帥府、ミューゼル艦隊司令部事務室、
オスカー・フォン・ロイエンタール
「俺達もとうとう艦隊司令官という所まで来たか。数年前は想像もしていなかったな」
「これまでも平民や下級貴族出身の艦隊司令官が全く居なかった訳ではないさ。人事局が珍しくまともな仕事をしただけだ」
今事務室には新しく艦隊司令官職を拝命した者達が揃っている。俺、そして僚友たるミッターマイヤー。ケスラー、そしてメックリンガー。
「だが、ミューゼル閣下が宇宙艦隊副司令長官になられるというのは、我々以上に名人事だな。そうは思わないか、ロイエンタール」
「そうだな…いずれそういう役職に就かれるとは思っていたが、意外に早かったな」
ボーデンでの戦…あれは心地よいものだった。流れる様な戦闘、時期を逃さぬ指示。ミューゼル閣下は俺達二人を、そう、手足の様に使い、叛乱軍を切り裂いた。あの戦いこそまさしく俺の求めていたものだ。人の指
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