激闘編
第九十一話 憂い
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ト様を見ているのも面白いが、屈託のないハイデマリー嬢を見ているのも面白い…ラインハルト様はハイデマリー嬢の気持ちに気付いては…いないか。
「ハイデマリー様はミューゼル大将をお助けしたいのですか?」
「はい!」
「お側に着いて行かなくとも、無事を祈って頂けるだけで充分に助けになりますよ。そうですよね、ラインハルト様」
「あ、ああ…その通りですフロイライン。無事を祈ってくれる方が居る、そう思うだけで力強く感じるものです」
やれやれ…ラインハルト様のオウム返しにヒルデスハイム伯も苦笑している。ハイデマリー嬢はともかく、伯爵はどうお考えなのだろう。自分の娘が、地位は得ているとはいえ帝国騎士に過ぎない家柄の者に好意を抱く…諦めさせるのだろうか、それとも……。
19:30
ラインハルト・フォン・ミューゼル
「良い夕食でした、馳走まことに感謝いたして居ります」
「そうかしこまらんでいい…ところで此処に来たのは例の件の事であろう?」
執事のハット夫妻が酒を運んで来た。夫妻が退出すると、伯爵自らそう切り出した。
「お見通しでしたか…今日、ミュッケンベルガー閣下から、小官の宇宙艦隊副司令長官職への就任の内示がありました。既にご存知でございましたか」
「うむ。クラーゼン閣下から聞いた」
「有難いお話なのですが…」
「何故、副司令長官を置くのか、という事だな」
「はい。今までミュッケンベルガー司令長官は副司令官を置かれませんでした。何故今になってその職が必要なのか、理解出来ない部分がありまして…閣下なら何かご存知ではないかと」
伯はグラスに…俺達の分もだ…ブランデーを注ぐと、香りを楽しんでからグラスを口元に運んだ。
「卿等が出征する前の事だ。陛下がお倒れあそばされた。無論、箝口令が敷かれた。三日程で意識は戻り事なきを得た…心配要らん、陛下が倒れられたのは卿の姉君の所ではない」
皇帝はバラ園で倒れていたという。暗殺や弑逆の類いではなく、バラの世話中に誤って転び、頭部を強打したせいらしかった。
「陛下は以前から体調に不安を抱えておられる。これまでも何度か臥せっておられるが、今まではただの体調不良や深酒の類いが主であった」
深酒の類い…それは体調不良とは言わぬのではないか、そう思ったが、それを言っては伯も気を悪くするだろう…。
「では、昏睡状態になったのは今回が初だと」
「そうなのだ。まあ、此度は陛下ご自身がお転びあそばされたからなのだが、危機的状況になったのは間違いない。それで今更ながらに事の重大さに気がついたのだ」
「事の重大さ…後継者ですか」
「そうだ。陛下は未だ後継者を定められてはおらん。後継ぎはブラウンシュヴァイク家かリッテンハイム家のどちらかから…公然とそう思われているから、誰も気にしなかったのだ」
フリードリ
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