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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十一話 憂い
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しょうか」
「卿等ならむしろ大歓迎だ。さあ、座るといい」
ここに来たのはおそらく副司令長官職の件だろう、だがわざわざ訪ねてくれるのは嬉しいものだ、さぞ娘も喜ぶだろう。
「ボーデンでの活躍は聞いているぞ、叛乱軍の三個艦隊を手玉に取ったというではないか。卿に艦隊を任せた甲斐があったというものだ」
「ありがとうございます。ですが、たまたま上手くいったに過ぎません。フォルゲンではまたしてもウィンチェスターにしてやられました。メルカッツ提督にも迷惑をかけてしまいました」
「戦闘の推移は私も見せてもらった。ウィンチェスター、ヤン・ウェンリーが相手と聞いて固くなったのであろう?」
「はい、恥ずかしながら」
「ヤン・ウェンリーという男はウィンチェスターの艦隊の後継者だったな。イゼルローン要塞にも居たな、確か」
「はい。ウィンチェスターの参謀長を務めていた男です」
「となれば一筋縄ではいかんだろう」
「はい。その背後に増援としてウィンチェスター艦隊…正直、何をしでかすか分からぬ怖さを感じておりました」
「ふむ…好敵手というのは居るものだな。私も卿をけしかけてしまったからな」
「力及ばず申し訳なく思っております」
「はは…これから幾らでも相まみえる機会はあろう。敗けたとしても最後に立って居れば卿の勝ちだ」
「肝に命じます」
「ここに来たのはこんな追従を聞く為ではあるまい?だがその前に夕食としようか。実はな、卿等が来たと聞いてハイデマリーが居ても立ってもおれん様でな」

 …ハイデマリーがハット達の手伝いをするとはな。お嬢様、よいのです、いいえ、手伝わせて…もう充分に年頃だな…。
「急な事で有り合わせで済まんが、食べてくれ」
「いえ、これで有り合わせ等と言われては、普段我々が食べているものは何なのか…と頭を抱えたくなります、なあキルヒアイス…では、頂きます」
話したくて堪らなかったのだろう、ハイデマリーがはしゃいでいる。
「ミューゼル様、ボーデンでの戦では大活躍だったのですって?父から聞きました」
「ここに居るキルヒアイス少将や皆の助けがあったからです。小官一人の力ではありませんよ、フロイライン」
「でも、ミューゼル様の事をお好きでなければ、皆も助けてくれないのではなくて?」
「小官の事を好きでなければ…ですか?」
「はい!キルヒアイス少将もミューゼル様の事が大好きだから、ミューゼル様をお助けするのでしょ?」
「はは…はい、その通りです、ハイデマリー様」
「ほら、やっぱり!私もお供してみたいなあ。いいでしょお父様」


18:10
ジークフリード・キルヒアイス

 「ハイデマリー、ミューゼル大将は遊びで前線に行っているのではないのだぞ。良い訳がないだろう」
「ええ…残念だなあ」
父娘の会話に反応に困るラインハル
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