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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十五 息子と娘
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代目火影はナルの意識では“木ノ葉崩し”で死んだはずだ。
だがナルトの言い分では生きている。

どういうことだ、と動揺する父親に対し、ナルトは何も言わない。仏心も出さない。
ただ、静かに告げるのみだ。


「人の記憶を操作するなんて烏滸がましいと思わないか」

その忠告は、ナルト自身にも向けられていた。








その一言を最後に、ナルトは踵を返す。
もう用はないとばかりに立ち去る息子の背中に、ミナトは手を伸ばした。
だが、足元で眼を醒ましかける娘を放っておいてはいけなかった。


それにナルトの言う通り、もう己に残されている時間はなかった。
早くナルの九尾の封印式を組み直さなければならない。











目覚めたナルの困惑顔を見て、ミナトは彼女を立ち上がらせる。
戸惑いつつも、自分を父親だと信じてくれた娘は、息子とは違って素直だった。

だからこそ、脳裏に過ぎる息子の顔を思い出しながら、ミナトは口を開く。


「ナル…落ち着いて聞いてほしい」


息子とそっくりで違う、青い蒼い双眸。
その瞳を覗き込みながら、四代目火影は意を決して言葉を紡いだ。






「君は、君には…────」
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