八十五 息子と娘
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その僅かな隙間から封印を解除する。
そう、封じられていた九尾の陰チャクラを。
「神と名のつくモノは大嫌いでね…────【八卦封印】」
【屍鬼封尽】とは、封印した者とされた者の魂が共に死神に喰われ、喰われた魂は決して成仏することはなく、死神の腹の中で永遠に争い続けるという禁術だ。
故に浄土とは違う、死神の腹の中に魂がある為、この禁術で死んだ者を【穢土転生】で蘇らせることも不可能。
だが、その離れ業をナルトはあっさりやってのけた。
九尾の半身を己の内に封じる。
そうして息子は父親に、何でもないように言い放った。
「だから死神の腹を探るくらい、なんでもないとも」
「────ナルト。なにがあった?」
これほどの力・技術・経験値。
あり得ない。この歳でその領域に足を踏み込んでいる我が子を、ミナトは信じられない面持ちで見つめた。
既に歴代の火影を超えていると言っても過言ではない。
だからこそ、どうやってその力を身に着けたのか。
「おまえの身になにが、」
「────時間だ」
だが父親の当然の疑問を、息子は断ち切った。
それよりも、と視線を促す。気絶している娘がそろそろ目覚めそうな兆しを感じ取り、ミナトは困惑顔でナルトを見返した。
「妹に会っていかないのかい?」
「……彼女は俺が兄だとは知らない」
まさかの事実に、今度こそ四代目火影は言葉を失った。
どうして、と尽きない疑問。
言葉に出さずとも父親の声なき問い掛けに、ナルトは当然気づいていたが、あえて無視した。だから仕方なく、ミナトは口に出して息子に問う。
「…ナルに自分のことを話していかないの?」
「その時は、三代目火影の命はないと思え」
だが四代目火影の質問に対し、ナルトは冷酷非道な答えを返す。
眼を見張るミナトを横目に、どこか達観している息子は淡々と言葉を紡いだ。
「俺に関する記憶を消したのは、三代目火影だ。自力で思い出すならともかく、他者の口添えで思い出した場合、術者の命を危険に晒す……禁術の怖ろしさはアンタがその身を以ってよく知っているだろう」
つまりそれは暗に、ミナトがナルに、ナルトが実の兄であると告げればどうなるかを脅している。
実際は他者が話しても何の問題もない。
だがナルトは嘘をついた。今はまだ話す時ではない。
それに話すのならば他者ではなく自分の口から伝えたかった。
四代目火影がいない、その時に相応しい場面で。
波風ナルの封印式に己のチャクラの一部を細工して仕込んでいた為に、ナルの中から外の状況を把握していた四代目火影は困惑した。
三
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