八十五 息子と娘
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た。
四代目火影のチャクラの一部がナルの意識に現れるその僅かな隙を、ナルトは狙った。
それこそが今回のナルトの目的。
故に、望まぬ再会を果たしてまで、接触したのだ。
亡くなった四代目火影が命懸けで己に施した【屍鬼封尽】。
その術で道連れにした九喇嘛の片割れ。
九尾の半身を貰い受ける、その為に。
「────陰チャクラを頂く」
「……どうしてそれを、」
呆然。
九尾の半分のチャクラと共に心中した己の死因を何故か知っている我が子に動揺を隠せない。
「ナルト…おまえは、」
そこで言葉を切って、ミナトは視線を泳がせる。
そうして二番目のナルトの詰問の答えを改めて口にした。
「ナルに九尾のチャクラを半分残して封印したのは、この力を使いこなすと信じていたからだ…オレの娘なら、と」
「…ならば何故、残りの半分を俺に封じなかった?陰チャクラは俺に封じれば良かっただろう」
「……………」
ミナトは九尾の霊体を二分した。
九尾の心である陰チャクラと、魂である陽チャクラと。
そして魂である陽チャクラをナルに封じ、切り取った九尾の心である陰チャクラは己の身に封印した。
邪悪な感情・考え・性格などとは基本的に“心”に宿るものである。
だからミナトは、我が子が九尾の悪しき心に染められるのを怖れた。
故に、陽チャクラを産まれたばかりのナルのへそに封じ、残りの悪しき心である陰チャクラは自らが道連れにしたのだ。
へその尾を切ったばかりの赤子であるナルよりも先に産まれた兄のほうにはタイムラグがあった。
だから九尾をナルに、残り少ないクシナのチャクラを兄に封じた。
父親としての親心のつもりだった。
陰チャクラを封じなかったことも。母親のチャクラを息子の中に残したことも。
だがそれは息子にとっては裏目に出たらしい。
「…この俺が陰チャクラの影響に染められるとでも?」
だがミナトの親心を、ナルトはせせら嗤った。
「そんなモノ、とっくに地獄を味わっているこの身には痛くも痒くもない」
そうして、四代目火影の腹を殴った時に既に手に入れた【屍鬼封尽】の術の名残を、自身の腹に封印式として施す。
何をしようとしているのか察して、ミナトは眼を見張った。
「やめろ…!第一、封印したオレの肉体はとうに朽ちている。それにたとえ【穢土転生】でもこの身は口寄せされない!九尾の陰チャクラを手に入れることなど、」
「何事にも少しの綻びがあれば、抜け道はある。それに俺は───」
既に亡くなっている人間の、それもチャクラの一部だが、けれど繋がりはある。
その術の抜け道に綻びを入れ、
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