八十五 息子と娘
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何故、ナルを人柱力にした!?何故、俺にしなかったんだ!?」
「…それは、」
口籠った四代目火影に畳みかけるように、ナルトは糾弾する。
「俺なんかよりも、母さんのチャクラはナルに封じるべきだった…!そうすれば…ッ、」
そこから先の言葉を、ナルトは口に出さなかった。いや、出せなかった。
代わりに、実の亡き父親を冷然と睨み据える。
取り付く島もない様子の我が子を見て、暫し呆然としていたミナトは戸惑いつつも言葉を選ぶ。
しかしながら良い言葉が思い浮かばず、話題を変えてしまった。
だがそれは、九尾の怒りの火に油を注いだだけだった。
「…さっきから口にしている“くらま”というのは九尾の名かい?」
『貴様如きが軽々しくその名を呼ぶな…ッ』
グルルルルと唸り声と共に再び憎悪を撒き散らす九尾を背景に、ナルトは逆に落ち着きを取り戻す。
大きく息を吐いて冷静になろうと努めたが、やはり依然として刺々しい物言いだった。
「……アンタは九喇嘛の恨みも憎しみも何もわかっていない。それなのに化け物扱いするその神経が気に食わない」
牢獄内で四代目火影への憎悪を募らせ、呪詛を吐いていた九尾が、ナルトの一言で押し黙る。
瞠目し、ナルトへ視線を投げる九尾をチラリと横目で見遣ってから、ミナトは伏し目がちに苦笑した。
「…そうか…子どものお前に辛い思いばかりさせてしまったオレが…今更、父親面して謝るのも違うかな…」
「…その謝罪は、ナルにそっくりそのまま伝えろ」
この会話を聞かれたくないばかりにナルを気絶させた張本人は、溢れ出る感情を抑え込み、極めて落ち着いた姿勢で父親に向き合った。本題に入る。
「アンタへの恨み言は数えきれないほどある…だがナルの為に力を尽くすというなら…俺への謝罪は無くていい」
わかっているのだ。ナルトとてわかっているのだ。
これはただの自分のエゴ。八つ当たりであることを。
それでも責めずにはいられない。
波風ナルを人柱力にした罪。母であるクシナのチャクラをナルではなくナルトに封じた罪。
そして────。
「九喇嘛。すまないが預からせてもらう」
牢獄にて親子の一方的な口論を怪訝な顔で黙って眺めていた九尾は、突然了承を求めてきたナルトに戸惑う。
同じく動揺しているミナトを前に、ナルトは先ほど四代目火影の腹を問答無用で殴った己の拳を見下ろした。
アレは、私怨で意味もなく殴ったのではない。
無論、恨みもあったが、それよりも父親の腹に施されているソレに用があった。
波風ナルの封印式に細工してある四代目火影のチャクラは、九尾化の八本目の尾まで封印が解放されなければ接触できない。だから不本意ながらナルの九尾化を黙認し
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