第二章
[8]前話
「不思議に思っているという」
「いや、それはです」
「我等の方が不思議です」
「人間達は知らないのですね、彼女のことを」
「どうも」
「そうだな、だから彼女に言った」
バステトにというのだ。
「自分でだ」
「人間達に教えろと」
「何故強く戦いが好きなのか」
「そのことをな」
「そうですか、ではです」
「そうしてもらいましょう」
セトとトトはラーの言葉を受けて頷いた、そしてだった。
バステトの動きを見た、バステトは気軽に自分の神殿に赴きそのうえで人間達に明るく言ったのだった。
「私がどうして強くて戦いが好きか知りたいのね」
「はい、どうしてですか」
「何故バステト女神はお強いのですか」
「そして戦いがお好きなのですか」
「セクメト女神の様に」
「それはどうしてですか」
「それは私がこの頭だからよ」
猫のそれを指差して話した。
「だからね」
「猫だからですか」
「それで、ですか」
「そうよ」
まさにというのだ。
「戦も好きなのよ、猫はよく喧嘩するでしょ」
「はい、猫同士で」
「じゃれ合いの場合も多いですが」
「確かによく喧嘩します」
「言われてみれば」
「そして猫はライオンの親戚よ」
このことも言うのだった。
「そうでしょ」
「はい、よく見れば似ています」
「外見も動きも」
「大きさこそ違いますが」
「何かと」
「若し大きさが同じなら」
猫とライオンがというのだ。
「負けないわよ」
「ライオンと」
「そこまで強いので」
「それで、ですか」
「バステト様もですか」
「戦が好きで」
そしてというのだ。
「そのうえでね」
「後れを取らないのですね」
「セト神やトト神といった武勇に優れた神々にも」
「ライオンの頭のセクメト女神にも」
「そうした神々にもですね」
「そうよ、だから戦になれば」
その時はとだ、バステトは実に楽しそうに話した。
「また喜んで戦うわ」
「そうされますか」
「その時は」
「そうされますか」
「ええ、またね」
こう言って実際にだった。
バステトは戦になるとすぐに自ら進んで戦に加わって戦った、その彼女を人間達だけでなく神々も頼りにした。その仕事と性格から愛される女神だったが戦では慕われもした。そうした女神として信仰されていた。
バステト 完
2024・4・13
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