第二章
[8]前話
「雨は嫌だけれど」
「そうよね」
「いや、長崎は今日もね」
またこの歌の話をするのだった。
「雨だったって」
「そう言うわね」
「その雨が降って」
そうしてというのだ。
「俺達が逢ったのって」
「嫌だったわね」
「嫌でも歌の通りになったって思ったら」
その長崎に来てというのだ。
「面白くない?」
「そう言われたら」
確かにとだ、英梨も頷いた。
「そうね、嫌でもね」
「面白いね」
「ええ、何かね」
英梨は自然と微笑んで話した。
「一興かもね」
「長崎で雨に遭ったことも」
「それも。殆ど濡れなかったし」
英梨はこのことはよしとした。
「それじゃあね」
「よかったね」
「思い出になるわね」
「いいね」
「そうね」
英梨はビールを飲みつつ頷いた。
「それはそれで」
「そうだね」
「一興ね」
まただ、英梨はこの言葉を出した。
「これも」
「そうだね、明日はね」
勇也は自分のスマートフォンで明日の長崎の天気を確認した、そのうえで向かいの席にいる彼女に話した。
「朝から晴れるそうだよ」
「それは何よりね」
「だから」
それでというのだ。
「明日はね」
「気分よく」
「観光が出来るよ」
「それじゃあね」
「明日はね」
「楽しくね」
「長崎観て回ろうね」
カップルでこう話した、そしてだった。
二人は居酒屋で飲んだ後宿泊先のホテルに戻った。そこで風呂に入ってから寝た。そして翌朝朝食を食べてだ。
ホテルを出た、すると。
雨はすっかり上がっていた、アスファルトはまだ濡れていたが。
それでも雨は上がり空は青空になっていて。
日光に照らされた雨上がりの空に虹があった、英梨はその虹を見ると自然と笑顔になって勇也に言った。
「雨もまたね」
「一興だね」
「降ってもそうで」
「降った後でもね」
「こうしてね」
「虹が出るなら」
「尚更ね」
今も隣にいる勇也に言うのだった。
「一興よ」
「そうだね」
「長崎は雨だったけれど」
そうであったがというのだ。
「けれどね」
「雨は必ず止んで」
「晴れるから」
「だからね」
「雨もまたよしね」
「そうなるね、じゃあ今日もね」
「長崎を楽しみましょう」
二人で話した、そしてだった。
共に長崎の観光に入った、最初に雨上がりの虹を目にしてからのそれは実にいいはじまりを迎えそこからとても楽しいものになったのだった。
それもまた一興 完
2024・3・11
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ