第二章
[8]前話
「出来る限り北のオリンポスや東のシュメール等で防いでいるが」
「それでもな」
「私がそちらの神々に後れを取るとな」
「敵は大蛇だけではないからな」
「どうしてもだ」
「常に私も一緒dだがな」
トトは申し訳なさそうに述べた。
「戦は」
「だが貴殿は知恵や学問もだ」
「司っているからだな」
「そちらで信仰が深くだ」
そうであってというのだ。
「愛されている」
「そういうことだな」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「貴殿と私ではな」
「人気が違うか」
「神々の間でもな」
「そうなのだな、だが」
「それでもか」
「貴殿は満足しているのだな」
「貴殿がいる」
セトはそのトトを見つつ彼に告げた。
「常に共に戦い傍にいてくれて理解してくれている」
「その私がか」
「いる、私も機電を理解しているつもりだ」
トトに言うのだった。
「即ち友だな」
「我々はな」
トトもその通りだと答えた。
「まさにな」
「友がいてな」
セトはさらに話した。
「そして主がいる」
「私のことか」
「はい、私を理解してくれて」
今度はラーを見て話した。
「信頼してくれていますね」
「そのつもりだ」
ラーはセトに確かな声で答えた。
「私もな」
「そしてこうしていつも労ってくれています」
「当然のことだ、いつも私の為に働いてくれているのだからな」
「それで充分です」
セトは微笑んで言った。
「私は」
「私とトトがいるだけでか」
「信頼出来る友がいて主がいる」
その両方がというのだ。
「それならばです」
「満足か」
「そうです、もうそれなら他の誰に何か言われても」
「いいのだな」
「私は。ではこれからも」
セトは厳かな声で話した。
「私は働きます」
「私の為にか」
「私と共に」
「その様に」
こう言うのだった、そしてだった。
セトはトトと共にラーを護る為に戦っていった、彼は多くの者から愛されていなかった。だがそれでも彼は胸を張っていた。友の横主の前でそうしていった。
孤独でない神 完
2024・4・14
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