第一章
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孤独でない神
セトは孤独な神である、戦だけでなく外敵である他国のことも司っているのでそれでエジプトの民からの人気は薄い。力はあるが。
「敵のことを司っておられるなら」
「もうちょっとしっかりして欲しい」
「東から来るからな」
「そして海からも」
「防いで欲しい」
「本当にな」
「そうだよな」
エジプトの民達はこんな話をしていた、しかし。
セトは自分の仕事を淡々と進めていた、ラーの傍にいてだった。
日々ラーが乗り空を飛びラーが世を照らす船を襲う大蛇アピポスと戦っていた、その傍らにはいつも自分と同じくラーを護る神トトがいて。
共に戦っていた、セトはツチブタのトトはコウノトリの頭をそれぞれ持っておりそのうえで共にいるが。
この日も大蛇を退けてだ、彼は言った。
「今日もだ」
「うむ、大蛇を退けられたな」
隣にいるトトが満足そうに応えた。
「そうだな」
「何よりだ、では帰ったらな」
「それからはだな」
「飲もう」
トトに満足そうに言った。
「そうしよう」
「いつも通りな」
「その時はだ」
神々の玉座にいる老神ラーも言ってきた。
「私も一緒でいいか」
「ラー様もですか」
「これよりですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「いつも通りな」
「我等と共にですか」
「飲まれますか」
「飲んで食べよう」
そうしようというのだった。
「ここはな」
「はい、それでは」
「船が着いたらそうしましょう」
セトもトトも笑顔で応えた、そしてだった。
三柱の神々は船から降りるとラーの舘でワインやビールをパンや木の実を肴に楽しんだ、そこにはナイルの幸の魚もある。
そうしたものを食べつつだ、セトは言った。
「こうして三柱で飲むことは」
「楽しいか」
「はい」
ラーに笑顔で答えた。
「実に」
「それならいいが」
「貴殿はよくだ」
トトも飲みつつ言ってきた。
「何かと言われ」
「人間達からはだな」
「評判が悪くな」
「信仰する者も少ないな」
「神々との付き合いもな」
これもというのだ。
「あまりないが」
「そうだな」
セトは飲みつつ応えた、三人で椅子に座って卓を囲んでいる。
「私はな」
「それでもだ」
「楽しいと言ったな」
「今な」
セトも否定しなかった。
「その通りだ」
「本当だな」
「私が貴殿とラー神に嘘を言ったことがあるか」
セトはトトに問い返した。
「これまで」
「いや、ない」
トトは一言で答えた。
「それはな」
「そうだな」
「そしてそれが答えか」
「確かに私は人気がない」
セト自身が認めることだった。
「非常にな、他国のことを司りだ」
「外敵が来るとな」
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