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アンズーとの戦い
第三章

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「!?これは」
「そうはさせぬ」 
 ニヌルタは七つの悪風を放ちそれでアンズーの左右の翼を攻めつつ言った。
「タブレットを使われては元も子もない」
「くっ、考えたものだな」
「それだけではない」
 ニヌルタは今度はだった。
 洪水を出してアンズーが飛び立ち空にしていた彼の住処を洗い流した、鬼神はそれを見て思わず歯噛みした。
「くっ、わしの家を」
「これで休めなくなったな」 
 ニヌルタは鬼神に対して言った。
「そうだな」
「戯言を。お主を倒してまた作ればいいだけのこと」
「わしはそう簡単に倒せぬぞ」
「倒してみせよう」
 アンズーも負けていなかった、こう返してだった。
 ニヌルタの出す七つの悪風に苦戦しつつも戦う、タブレットは悪風に阻まれ使えないが彼はそれでも強く。
 ニヌルタの攻撃をかわしていった、矢をそうしていったがそれが長引くと流石に疲れが出て来た。しかも戻る家が今はないから尚更だった。
 彼も疲れてきた、ここでだった。
 ニヌルタと共に戦っていたエアが彼に言ってきた。
「頃合いだ」
「槍投げの機を使いますか」
「そうする、よいな」
「それでは」
 エアの言葉に頷いてだった。
 ニヌルタは実際に今度は槍投げの機を用いた、多くの槍達が七つの悪風に動きを邪魔されているアンズーの左右の翼を襲った。
 無数の槍達が唸り声をあげて鬼神の翼に襲い掛かった、その速さと威力は悪風達に邪魔され疲れも見えている鬼神に避けられるものではなく。
 左右の翼に何本か受けた、その攻撃の傷で動きが落ちたところでだった。エアはニヌルタに言った。
「今だ」
「はい、それでは」
 ニヌルタは弓を構え思いきり引き絞った、そうしてだった。
 矢を稲妻の様にアンズーの喉に向けて放った、その矢を受けてだった。
 さしものアンズーも倒れた、それを見てだった。
 ニヌルタは彼が持っていたタブレットを取り戻した、そうしてだった。
 神々に褒め称えられ多くの称号を与えられた、だが彼はこう言うのだった。
「母上と知恵の神エアがおられた故に出来たこと」
「それでなのか」
「お主自身は何もしていない」
「そう言うのか」
「いわれるままにうごいていただけのこと」  
 それに過ぎないというのだ。
「だから褒め称えるのは母上とエア神に頼む」
「知恵を与えてくれた神々にこそ」
「お主がそう言うならな」
「そうさせてもらう」
「ならそうして欲しい」
 最後にこう言ってだった。
 ニアルタは自身の神殿に戻った、そして母神とエアに深い感謝の念を述べ見事なお礼の品を贈ったのだった。メソポタミアに伝わる古い話である。


アンズーとの戦い


                     2024.2.11
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