第二章
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「絶対にな」
「じゃあ御前は暴力革命でか」
「日本の反動勢力を粉砕して革命を起こすか」
宇山はまた言い切った。
「絶対にな」
「そうか。じゃあ頑張ってくれ」
「御前は同志にならないのかよ」
「どうだろうな。何か俺はな」
「御前は?」
「妙なものを感じるからな」
彼は共産主義に違和感を感じてもいたのだ。宇山とは違って。
「暫く考えさせてくれ」
「ブルジョワになるのか?」
「それはないと思うがな。ソ連か」
「ああ、ソ連だよ」
「引っ掛かるものも感じるからな。ちょっ徒考えさせてくれ」
彼はこう言って宇山の様な急進思想には入らなかった。だが宇山は止まらずだ。高校の時から積極的に活動を続け大学に入ってだ。
学生運動に身を投じた。そこでいつも言うのだった。
「革命だ!闘争だ!」
まさに学生運動の人間の言葉だった。
「暴力革命だ!共産主義だ!」
「宇山同志は活動的だな」
「あくまでそれを目指すんだな」
「そうだ。実行あるのみだ」
同志達、同じセクトの学生達にも言う。叫ぶと言った方がいいだろうか。
「暴力によりブルジョワも反動勢力も妥当してな」
「そうしてだな」
「革命を起こしてか」
「共産主義を実現するんだな」
「日本においても」
「共産主義こそが人類を救うんだ」
彼は確信と共に言い切った。
「絶対にな。だからな」
「よし、じゃあ俺達も動くか」
「共産主義を実現するか」
「資本主義の腐った豚共を打倒するぞ」
「人民を搾取する奴等を許してなるものか」
怪気炎を上げてだ。宇山も彼等も燃え上がっていた。彼の学生時代は学生闘争に終始したと言ってもいい。
だが大学を卒業する時にだ。ゼミの教授にこう言われたのだった。
「君は就職先はあるのかな」
「地元に戻ろうと考えています」
「地元で何をするんだい?」
「適当に仕事を見つけてそこで」
ここでこう言うのだった。この時の彼らしく。
「組合やるつもりです」
「いや、それよりもね」
ところがだった。ここでだ。
教授は少し考える顔になってだ。こう彼に言ってきたのだった。
「大学に残らないかい?」
「大学に」
「うん。大学院からこの大学の講師にならないかね」
「俺がですか」
「君はあまり授業に出てないがね」
それでもだというのだ。
「成績もいいしね。だからね」
「だからですか」
「いい論文だよ」
実はこの教授も共産主義にかなり寄っている。日本の知識人のかなりの割合がそうなってい0た時代だったのだ。
「だからね。残ってね」
「講師ですか」
「そうならないかい?」
教授はあらためて彼に言った。
「この大学のね」
「そうですね。それじゃあ」
彼もだ。教授の言葉に頷いてだ。
大学院に残り
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