第七百五十七話 麻薬がもたらすものその十三
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「今もな」
「そうなのね」
「だから俺はな」
テンボは強い声で言った。
「常にだ」
「自分を磨いているのね」
「努力してな」
そうしてというのだ。
「そうしている」
「そうなのね」
「名探偵になり」
そしてというのだ。
「人間としてもな」
「努力して」
「いい人にだ」
「なるのね」
「そうなる様に頑張っている」
「確かにな」
ダンはテンボのその話を聞いて言った。
「テンボは人間としては悪い奴じゃない」
「そうか」
「いい奴だ、真面目に努力している」
壊滅的な学校の成績と探偵としての資質については敢えて言わなかった、彼のそれ以外の部分特に人間性について語った。
「もっとよくなる」
「そうだな」
「そもそも自分をこの世で一番偉いと思っているか」
「そんな筈があるか」
即座にだ、テンボは答えた。
「俺よりも色々な探偵さんの方がだ」
「ホームズさん達だな」
「遥かにな」
「凄いか」
「俺は足元にも及ばない」
こう言うのだった。
「まだまだだ」
「そう思っているな」
「そうだからな」
それでというのだ。
「全くだ」
「思いも寄らないな」
「俺とジャッキーは天才だ」
このことは確信していた、彼等の中だけにしても。
「だが天才といってもだ」
「まだまだか」
「先がある」
「天才で終わりじゃないな」
「モーツァルトさんはそれで終わったか」
音楽家の名前は間違えなかった。
「あの人は多くの作品を残したな」
「そのモーツァルトさんの様にか」
「天才はただひたすら駆け上る」
「そうするからか」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「俺は自分がこの世で一番偉いとはだ」
「思わないか」
「そうだ、思うものか」
到底というのだ。
「何があってもな」
「そうだな、人間が偉いものか」
断じてという口調でだ、ダンは答えた。
「神様や仏様の前ではな」
「ちっぽけなものね」
「それがわからず自分がこの世で一番偉いなぞと思うなら」
「こんな馬鹿はないわね」
「全くだ、そんな奴こそ何も偉くなくてな」
今話している輩の様にというのだ。
「無能だ、そして今はな」
「餓鬼になっているわね」
「そうだ、本物の馬鹿だ」
ここでも断じてという口調だった、そうして四人でさらに話そうとしたところでもう一人来たのだった。
麻薬がもたらすもの 完
2024・3・24
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