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八条学園騒動記
第七百五十七話 麻薬がもたらすものその八

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「そしてだ」
「今も苦しんでいるか」
「ああ、餓鬼って長生きなのよね」
 ジャッキーも言ってきた。
「一万五千年はね」
「生きる」
「そうよね」
「二十一世紀初頭の奴だったらしいが」
 その頃に生きていたというのだ。
「二十世紀の終わりからな」
「その頃に八十年以上生きていたのね」
「それで何一つだ」
「いいことをしなかったのね」
「自己満足だけでな」
 ただそれだけでというのだ。
「生きていた」
「それで死んで」
「餓鬼になってな」
 正真正銘のそれにというのだ。
「今もな」
「苦しんでいるのね」
「間違いなくな」
「自業自得でね」 
 ジャッキーはここまで聞いて言った。
「何の同情もね」
「持てないな」
「ええ」
 まさにと答えた。
「本当にね」
「そうなってもな」
「餓鬼になって苦しんでいても」
「俺はだ」
 テンボは厳しい顔で言った。
「餓鬼にお布施はしない」
「あんた仏教徒でもあったわね」
「そうだが」
 それでもというのだ。
「それはしない」
「餓鬼はそうした人がなるから」
「だからだ」
 まさにそれが為にというのだ。
「絶対にな」
「餓鬼にお布施はしないのね」
「それで苦しみが和らぐというが」
 餓鬼は常に餓えと渇きに苦しめられている、人間だった頃の卑しさや浅ましさの報いとしてそうなっているのだ。
「しかしな」
「それでもなのね」
「そんな奴がなると思うとな」 
 それならというのだ。
「何があってもな」
「お布施したくなくなるのね」
「そうじゃないか」
「まあ私もね」
 ジャッキーも否定しなかった。
「仏教徒じゃないけれど」
「それでもだな」
「餓鬼ってそうした存在だと思うと」
「したくなくなるな」
「それこそね」
 テンボに真面目な顔で話した。
「しようとはね」
「思わなくなるな」
「ええ」
 まさにという口調で答えた。
「私もね」
「誰もそう思うな」
「そんな人が餓鬼になるって思ったら」
「知るかってなるな」
「そうだな」
 ダンも言った。
「俺もな」
「そう思うな」
「餓鬼はどういった奴がなるか」
 真剣な顔で言った。
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