第百三十二話 餓鬼にならないならその七
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「ないわね」
「子供じゃあるまいしね」
「子供のままその年齢になったの?」
「ある意味凄いわね」
「いや、何をして生きてきたか」
「疑問のレベルよね」
富美子は首を傾げそうになりつつ言った。
「最早」
「そうよね」
「私も五十でそうだって聞いて」
「驚いた?」
「ええ、そんなの十代のドキュンでしょ」
「自分がこの世で一番偉いと思うとか」
「精々ね、それがね」
有り得ない、その顔でこの言葉を出した。
「五十位でよ」
「そうだったのね」
「いや、五十でそこまでだと」
「本当に誰もどうしようもないわね」
「既に餓鬼で」
そうなっていてというのだ。
「死んだらね」
「本物の餓鬼になるわね」
「そしてね」
富美子は話を続けた。
「今はどうしているか」
「不明ね」
「何でも親戚の人が言うには」
その人のというのだ。
「野垂れ死んでるんじゃないかってね」
「言っておられるの」
「そうなっていて欲しいってね」
「親戚の人にも嫌われているのね」
「生きていても害にしかならないからって」
「そこまで嫌われてるのね」
かな恵はここまで聞いて察した。
「それだけのことをしてきたのね」
「そういうことね」
富美子も否定しなかった。
「本当にね」
「そういうことね」
「野垂れ死ねばいいって」
「そこまで思われるって」
「如何に酷いか」
「わかるわね、普通は」
かな恵は今度は腕を組んで考える顔になって話した。
「そこまではね」
「親戚の人に嫌われないわね」
「身内だからね」
「その身内の人もね」
「嫌われる位酷いのね」
「私もここまで嫌われたら」
富美子は自分がそうなったと考えて言った。
「嫌過ぎるわ」
「そんな人生送りたくないわよね」
「絶対にね」
何があってもというのだ。
「努力して」
「もっといい人になりたいわね」
「ええ、あとね」
「あと?」
「そうした人が餓鬼になってるなら」
それならというのだ。
「もう布施餓鬼なんてね」
「したくなくなるわね」
「お布施は他の人やお寺や」
「仏様にするわね」
「お地蔵さんとかね」
「そうするわね」
「餓鬼にお布施しても」
そうしてもというのだ。
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