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リュカ伝の外伝
女心は学ばなかった……
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るんですけどね!」

「それよ、それ……」
「女心の機微ですか?」
「うむ。勉強しとらん事も事実じゃが、勉強のしようも無いじゃろう」
「まぁ確かに……」

「となれば代用するしかあるまい」
「それが……今回の諜報機関使用の言い訳ですか?」
まったく……何を考えてるんだか?

「言い訳では無い! せめて孫娘の事は全て認識しておこうと思っての“祖父心”ってやつじゃよ!」
「その祖父心の結果、5年の歳月と莫大な資金を投じて設立させたサラボナ通商連合の諜報機関は、既にリュカ様にはバレてしまっていますけどね!」

「全くもってそれも信じられん! 今回は一切リュカとは接触しとらんのじゃろ? 何故……何処からリュカに諜報機関の事がバレる要素があるんじゃ!?」
「それが解れば苦労は無いですよ」

「と言う事は“バレた”と言うのはお前(ルディー)の思い込みであって、実際リュカは何も気付いて無いって事にならんか?」
「だと良いのですが、ここがリュカ様の優しさであり、嫌らしさでもあるんですが……あの人ワザワザ僕にカボチ村産のニンジンを買ってきて渡すんですよ。あの村の事は大嫌いだと広言してるクセに!」

「う〜む……バレてるぞアピールか。確かにワシ等への優しさじゃなぁ……」
大量の本と、それを収納する本棚で壁面を全て覆い窓を使用出来なくしてある書斎……そんな場所ではロウソク1本の灯火では奥の奥までは明るくは出来ず、小さな闇を見詰めて溜息を吐いた。

「では……如何する?」
「『如何する』とは?」
防音のしっかりした室内ではあるが、それでも声のトーンを落として話しかけてくる祖父……

「5年と大量の金を注ぎ込んだが、今の諜報機関の事がリュカ一人にでもバレているのなら、全てを無かった事にして1から(最初から)作り直すか?」
「………………」

普通に考えたら、諜報機関なんて代物は存在がバレたら意味が無くなるのだから、即座に解体するのが望ましいんだろう……
だが今回は状況が違う。バレたと言っても一人(リュカ様)にだけ……

「このまま諜報機関は継続させましょう。それがリュカ様への……引いてはグランバニア王国への友好(と言うよりも敵対心の無さ)の証にさせもらいましょう」
「『友好の証』?」

「そうですよ……我が国に諜報機関が存在する。それを否定せず放置して今まで通りに国交を交わしていく。でも存在するスパイを使っての情報戦などは行わない。我々サラボナ通商連合はグランバニア王国とは争いませんって事の証明としてバレた諜報機関をグランバニア以外で使用します。互い(サラボナとグランバニア)が共有している公然の秘密として放置するんです」

「……成る程。だが向こうさん(グランバニア)の秘密を握ってないから、不公平感は大
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