第百三十二話 餓鬼にならないならその二
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「餓鬼道は六道で最悪だって」
「地獄よりも酷い」
「普通の悪人は地獄に堕ちてね」
「どうしようもなく浅ましい人が餓鬼道に堕ちる」
「そして今お話してるみたいな苦しみを受けるから」
だからだというのだ。
「地獄よりもね」
「餓鬼道は悪いのね」
「そうね」
その様にというのだ。
「言ってたわ」
「そうだったのね」
「それで私もね」
留奈は自分の考えも話した。
「間違いじゃないってね」
「思うのね」
「だって今お話してるみたいに苦しむし」
そうなってというのだ。
「だからね」
「地獄より酷いかも知れないのね」
「それで私もそう思うのよ」
「そうね、地獄はね」
かな恵は仏教にある地獄を思い出して話した、具体的には血の池や針の山それに獄卒の鬼達である。
「確かに無茶苦茶なお仕置き受けるけれど」
「それもずっとね」
「それでも餓鬼みたいな姿にならなくて」
今度は腹だけ膨れ骨と皮ばかりのその姿を思い出して話した。
「餓えと渇きと寄生虫もね」
「そっちは餓鬼でね」
「堕ちるにしても」
「悪事を働いたからで」
その悪事によって堕ちる場所が変わるのも地獄の特徴である。
「それでね」
「また違うわね」
「餓鬼になるって浅ましい証拠だし」
「悪いことするより嫌かもね」
「そうよね、だったら」
「餓鬼道の方がね」
地獄道よりもというのだ。
「まだ悪いかもね」
「そうかもね」
二人で話した、そしてだった。
かな恵は深く考える顔になってだ、留奈にこう言った。
「そも人みたいになったら」
「本当に嫌よね」
「人としていいところがね」
長所や美点と言われるものがというのだ。
「全くなくて」
「誰からも嫌われてね」
「何も持ってなくてしてこなかった」
「ただ生きてるだけね」
「人に迷惑と不愉快な気持ちだけ与えて」
「いや、最低最悪の人生の一つね」
留奈もこう言った。
「正直言って」
「そうよね」
「そんな人生送ったら」
それこそというのだ。
「何になるのか」
「そこまでよね」
「傍目で見てね、ただ本人さんは」
「ふんぞり返っていたのよね」
「自分がこの世で一番偉いって思ってね」
「何がどう偉いのか」
かな恵は首を傾げさせつつ言った。
「さっぱりわからないけれどね」
「餓鬼になる位の人なのにね」
「生きていてね」
「そうよね、心が餓鬼ならね」
それならというのだ。
「もうね」
「そうね、そこまで徳分なくて」
かな恵はそれでと話した。
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