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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十話 新人事
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「付き合いますよ」
食堂は二十四時間営業だ。基本的には食事の時間は決まっているものの、何時でも食事を取れる様になっている。大抵の者達は七時台に朝食を済ませるから、今の時間は空いている筈だった。
「昇進は分からないでもないが、副司令長官とはね。おめでとう、ウィンチェスター」
「何だか否応なしに表舞台に立たされる様で嫌になりますよ。本部長達が辞任するとなると仕方ないかなとは思いますが」
二十五で大将…おまけに宇宙艦隊副司令長官、アッシュビーを抜いたな。それはともかく、敗戦を粉塗する為の昇進…いや、敗けた訳じゃないのか、でも敗けたという印象は拭えない…。同盟市民に与える影響が、とか言っていたけど、実際に同盟市民はどう思っているんだろう?……ああ、遺族に対する配慮だな、本部長達だけじゃない、トリューニヒトも大変だろうな…そっか、本部長達が辞めてもらった方がトリューニヒト的には都合がいいのか…ん?待てよ、市民から見たらどう見えるだろう。

 「同盟市民はどう見るだろうね」
ヤンさんも似たような事を考えたのかもしれない、俺の疑問と同じ事を口にした。俺がヤンさんに聞こうと思ったのに…。
「本部長達の辞任は…前線の艦隊司令官の暴走のせいで詰腹を切らされたと思うんじゃないでしょうか。図式的には全くその通りですから」
「やっぱりそう見えるかな」
「それを意図しているのかもしれません。しかも後任はグリーンヒル大将です、自分の指揮した戦いのせいで上司のクビが飛んだ、しかも自分はその上司の席に座る…確かにグリーンヒル大将の立場では全く目出度くない人事ですよ」
「そうだね…確かにショック療法かもしれないな。そして宇宙艦隊のトップにはビュコック大将…同盟軍の宿将がトップに立つ、そしてそれを支えるのはアッシュビーの再来とうたわれる同盟軍の若き英雄か」
「支えるのはエル・ファシルの英雄でもいいと思うんですけどね」
「勘弁してくれ、私みたいな青二才には無理だよ。それにだ、そんな地位に就いたら…」
「…就いたら?」
「昼寝をする暇も無くなってしまう」
「私だって青二才なんですよ?昼寝をする暇も欲しいです」
「冗談だよ、でもね、私より君の方がふさわしいと思う。君には現実が見えているからね。君の言う事は荒唐無稽に見えて地に足が着いているんだよ」
「そうですかね…結構行き当たりばったりなんですけどね」
「でも、君はその時々の状況にきちんと対応してここまで来た。そして、現在の状況を作り出したのも君だ。新しい状況には新しい指揮官…トップではない、でもトップに近い位置から全体を見渡せる…君の考えを実行するチャンスだ、今まで以上にね」
「ヤンさんらしくないですね…そんなにけしかけていいんですか?この先どうなるか分かりませんよ?」
「無定見に物事が進むより余程ましさ。
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