激闘編
第九十話 新人事
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」
「…そうだな、だが感情と理性は相反するものだ、同盟市民は戦場で負けた事に納得がいかないだろう…」
グリーンヒル司令官の暗い顔の原因はこれだったか。俺やヤンさんの昇進はともかく、シトレ親父達の辞任の原因は自分にある…と思っているんだろう…ヤンさんが俺をつついている、選手交代という事かな?
「上層部の辞任の意向は理解しました、後任はどなたになるのです?」
「統合作戦本部長は私に決まったらしい。次長には昇進後クブルスリー提督が就く」
「それは…おめでとうございます。それで、宇宙艦隊司令長官にはどなたが」
「私に関しては目出度いかどうかは微妙だがね。身が引き締まる思いだよ…新しい司令長官はビュコック提督だ。提督は兵からの信望が厚い。適任だろう」
「それはそうですが、ビュコック閣下は士官学校を出ておられません。高級指揮官達が納得するかどうか」
「確かにそうだ。そこでビュコック提督を支える為に新しい司令官職が新設される事になった。宇宙艦隊副司令長官職だ」
「副司令長官…どなたがその職に就くのです?」
「君の隣に座っているウィンチェスター提督だ」
は?副司令長官?俺がビュコック提督を支えるの?ヤンさんもびっくりしたのだろう、俺を見ながらポカンと口を開けている。原作の同盟末期を知る者としては胸熱なポジションではあるけど…。
「ウィンチェスター提督は大将昇進後、宇宙艦隊副司令長官に任命される。第九艦隊司令官兼任だ。ヤン提督は中将昇進後、第一艦隊司令官に転任する。新人事のうち、決定している事は以上だ」
以上…って、まだあるのか?
「閣下」
「何かな、ヤン提督」
「閣下は決定した人事は以上だ、と仰いました。続きが有るのですね?」
「うむ。シトレ本部長はショック療法をお考えの様だ。その治療法を実行するにはいい機会だと」
「ショック療法…ですか」
「そうだ。戦争が始まって百五十年、一進一退と言えば聞こえはいいが、同盟は常に帝国に押され気味だった。専制主義、帝国打倒を唱えながら、内実は同盟領内での防衛戦争だ。しかし状況は変化した。一つの宙域だけとはいえ、我々は帝国領内に足を踏み入れた。この状況を固定化させてはならない。新しい状況には新しい指揮官達が必要だろう」
「新しい状況には新しい指揮官…本部長のお考えは理解出来ますが、こうも一斉に上層部に動きがあると軍は一時的に機能不全に陥るのではないですか」
「貴官のいう事はもっともだ。だからこそ貴官達の人事以外はまだ未定なのだよ。現在ハイネセンから貴官等と交替してアムリッツァの防衛任務に就く艦隊が此方に向かっている。新人事は彼等がカイタルに到着後に施行される予定だ」
グリーンヒル大将の話が終わり、公室を出るとヤンさんが食堂に行こうと言い出した。
「朝食がまだでね。君は?」
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