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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十話 新人事
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などに固執する必要はない」
「では…同盟に潜伏させている工作員は撤収させますか?」
「いや、現時点で新たな工作を行う必要はないが、以前から実施している件については継続する。それに監視と情報収集は必要だ。そちらの方に注力させてくれたまえ」
「かしこまりました」



10月13日09:00
アムリッツァ星系、カイタル、アムリッツァ方面軍地上司令部、方面軍司令官公室
ヤマト・ウィンチェスター

 「あれ。ヤン提督だけですか」
「どうやらその様ですね、ウィンチェスター提督」
「その呼び方は今は止めて下さいよ、私とヤン提督しかいないんですから」
「今は勤務中だし、此処は司令部だ。私だって公私の別くらいつけるさ」
「未だに慣れませんよ、ヤンさんにそう言われるのは」
「お互いに、だね。私は二十八、君は二十五…この年で少将、中将だ。世の中おかしいんじゃないかと思うよ」
「そうですね…将官って、もっとふんぞり返っていても良いんでしょうけど、頭の中が追い付きません。本来ならお互いにまだ大尉か中尉でしょうから」
艦隊司令官集合、という事だったけど、呼ばれたのはどうやら俺とヤンさんだけらしい。二人だけとなると大体の想像はつくけど…。

 「待たせてしまったな。いや、そのままかけたままでいいよ」
グリーンヒル司令官が入って来た。起立して敬礼しようとする我々を止めながら、自分もソファに座った…何だか一回り小さくなった様な気がする。
「君達は昇進する事になった。理由は…」
「負けたからでしょう?」
上官の言葉を遮るなんて有ってはならない事だけど、言ってやりたい気持ちの方が強かった。ヤンさんも横で苦笑しているし、同じ気持ちなんだろう。
「…そうだな。当事者としてはそうはっきり言われると返す言葉もないな」
おいおい、そんなに暗くならないでくれよ、ちょっと皮肉を言いたかっただけなんだから…。
「君達の昇進だけではない。今後、軍の人事が刷新される。まず、統合作戦本部長、同次長、宇宙艦隊司令長官が辞任、勇退される事になった」
……は?どういう事だ?確かにヴィーレンシュタインでの損害は大きかった、その責任を取るっていうのか?だがアムリッツァは守られたんだ、辞める必要はないだろう?
「何故、辞任されるのですか?確かに被害は大きかったですが、アムリッツァは守られています。辞める必要はないと思うのですが」
「試合には勝った、だが勝負には負けた…大抵の場合、人は勝負に勝った方を褒め称えるものだ。アムリッツァ防衛には確かに成功した。だが合計六百万人近い犠牲者が出た、その事が同盟市民に与えたインパクトは大きいと上層部は考えた様だ」
「お言葉ですが閣下、それでは試合に勝った者は誰が褒め称えてくれるのですか?試合に負けたら全てを失うかもしれないのですよ
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