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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十話 新人事
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のだ。フェザーンの拝金主義者共…という言葉にそれが集約されている。そして彼等は選挙という合法化された革命権を保持している。そして同盟の為政者達は彼等を無視する事は出来ない。次代を担うであろう政治家を…例えばトリューニヒトの様な現在の同盟の政治の中心にいる様な人間を取り込むのが一番だが、今はそれは不可能だ。おそらく奴はリベートの類いは決して拒まないだろう。だが今の奴にはそれは必要がない。そういう働きかけを行っただけでも、奴はそれを人気取りの為に使う筈だ。政敵の追い落としにさえ利用できる。同盟の各種産業の指導者も同様だ。今同盟は建国当時に近い国内開発の熱気に沸いている。フェザーンの力が無くとも国内の内需だけで経済が回り始めている。そういう時には近付かないのが賢明なのだ。

「一方、帝国だが、此方は権力構造が固定化されている。地方貴族の反乱は起きてもそれは支配階級のアクシデントに過ぎず、革命的な行動ではない。そしてその貴族達は皇帝、帝国政府によって自らの権力を保証されている。その上一部の大貴族、政府閣僚以外は帝国の統治に関与する事がない。大部分の貴族達は自ら蚊帳の外に居る事を選択している様なものだ。そして彼等のほとんどはフェザーンと繋がっている。帝国政府もそれを知っているが、帝国の法を犯している訳ではないから咎める事もなくまた咎められるものでもない。此処に我々の勢力を浸透させればいずれは帝国を乗っ取る事が出来る」

 ボルテックは深々と頭を下げた。感服でもしたのだろうか、それとも長広舌だとでも思って打ち切らせたかったのか…。
「閣下のご見識には感服致しました。ですが、若しですが、帝国政府が貴族に対して我々との関係を切れ、または薄めよ…などと言い出したらどうなりましょう」
「貴族どもがたちゆかなくなる。自らの首を絞める政府の言う事など聞かぬだろう、暴発するだろうな。帝国貴族がどれほど存在すると思っている?ざっと四千家だ。大半が暴発するだろう」
「それを支援すると…?」
「してもしなくてもいいのだ。奴等を見限り帝国政府を支援するという手もある。そうすれば帝国政府そのものを乗っ取る事も可能となるだろう」

 ボルテックは再び頭を下げた。賛意なのか、場の空気を読む仕草なのか…まあ今はどちらでもいい。
「その場合、放置していた、あ、いや仮定の話ですが…放置していた同盟への対処は」
「そうだな、ここまで来れば同盟への工作も簡単になる。弱者として助けを乞うてもいいしオブザーバーとして帝国侵攻に参加してもいい。宇宙の統一に力を貸すとささやけばいいのだ。政治的には同盟の為政者が、経済面では我等が宇宙を統一する。単一の政治体制になれば裏面から操る事など容易い事だ。古代のローマ帝国をキリスト教が乗っ取った様にな。以前にも言ったが、当初計画通りの帝国、同盟の共倒れ
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