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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十話 新人事
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ニヒト氏に報告するが、いいかな?」
「はい」
「宜しくお願いします」
「あとは艦隊司令官達だな」
体制が代われば辞める者もいるだろう。後釜を決めておかねばならん。あの男に決めさせよう…。



帝国暦486年10月10日11:00
フェザーン星系、フェザーン、フェザーン自治領主府
アドリアン・ルビンスキー

 「ボルテック補佐官、今回の帝国と同盟の戦いだが、どうなったかな」
そんな驚いた顔をしなくてもいいだろう。確かに結果は知っているが、それを俺から言ってしまったらお前の仕事が無くなってしまうだろう?
「既にご存知とばかり思っていましたので、報告を失念しておりました。申し訳ございません」
戦略的には同盟の勝利、戦術的には帝国の勝利…ボルテックの報告は予想通りの物だった。ここからが本番だ、補佐官としてそこから何を読み取ったか、何を発見したか。そして何を俺に進言するか…。
「帝国の高等弁務官府、レムシャイド伯からですが、此度の協力、まことに感謝する…とのお言葉をいただきました」
「ほう、何か協力したのかな?」
「出兵に関する情報について欺瞞工作を少し。私の一存で行いました。事後報告となった事をお詫びします」
詫びるにしては誇らしげだな……マスコミから帝国の出兵規模についてのニュースが流れた。出兵規模は…証券取引、株の値動きについて。同盟がこの情報を元に作戦行動を策定する事を期待しての工作だ。株価や証券取引の動きは隠せないから、マスコミを使い嘘の出兵規模の情報を流すと共に値動きを煽る…この動きの裏にボルテックが存在しているのは別の線から報告が上がっていた。まあこれくらいやってくれなければ補佐官とは言えん。

「よくやってくれた、補佐官」
「ありがとうございます。カストロプの件、ハーン航路の軍事利用の件、欺瞞情報…これで帝国の我がフェザーンへの心証はかなり改善されたと思われます」
「そうだな、お陰で帝国内で多少事を起こしてもフェザーンが疑われる事はない」
「はい。ですが、本当に同盟については考慮しなくても宜しいのですか」
「補佐官、帝国と同盟…裏から操るにはどちらが容易いと思うかね」
「そう仰るからには閣下は帝国の方が容易いと…」
「そうだ。同盟の為政者達は常に同盟市民という有権者の目を気にしなければならん。同盟に対し本格的な工作を行うとなると、同盟市民の世論というものまで気にしなくてはならん。不確定要素が大きいし、第一、面倒だ」
確かに政府閣僚を利権で縛る事は可能だ。現に最高評議会議長ロイヤル・サンフォードや幾人かの閣僚、評議会議員は我々の手中にある。…彼等にフェザーンに有利になる様な政策を実行させる様に迫る事も可能だろう。だが同盟の有権者達…同盟市民は反帝国感情も強いが、潜在的な反フェザーン感情も持っている
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