激闘編
第九十話 新人事
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報告する。二人が一緒にいるのは報告の手間を省く為だろう。それだけ体制の再構築が急務という事だ…。
「ボーデンでの話ですが、戦術単位として味方は艦隊が一個少ない、それは仕方ありませんが、であれば尚の事攻勢に出るべきでした。確かにミュッケンベルガー艦隊は予備の位置にありましたが、常識的に考えて最上位の指揮官が後方に居るのは当たり前の話です。現にミュッケンベルガー艦隊が前に出たのは戦闘開始後二日以上経ってからです。早期に右翼なり左翼なりを三個艦隊で全力で攻撃していれば状況はもっと楽になったと思います」
“貴官ならそうしたかね?”
「ええ、攻勢に出たと思います。変わってフォルゲンの話ですが、小官はフォルゲンへの増援という命令を受けました。分かりきった事でしたので敢えて訪ねませんでしたが、任務はフォルゲンの警戒監視なのか、それとも出現するであろう帝国軍の撃破なのか。その点が不明瞭でした。更に言わせて頂ければ、ボーデンに出現した敵はは五個艦隊。帝国政府の公式発表では六個艦隊による出兵でしたから、少なくともフォルゲンに一個艦隊が出現するという事は事前に予想出来た筈です。ですが、フォルゲンに派遣されたのはヤン提督の第十三艦隊です。半個艦隊で一個艦隊に対処する…危険である事は素人にも想像がつく事です。どういう意図でそういう兵力配置を行ったのか…疑問を感じざるを得ません。増援を以て敵に対処する…それは分かりますが、前線が呼べる増援はイゼルローン要塞へ派遣される二個艦隊…今回は小官とチュン提督でしたが、二個艦隊しかいないのです。増援を前線の補強と考えるより遊撃部隊として活用する…それくらいの腹案は欲しいものです」
…喉が乾いた。察したのだろう、ミリアムちゃんが飲み物を取りに部屋を出て行った。
“ふむ。どうすればいいと思うかね?”
「上級指揮官の交替を望みます。正直申し上げてグリーンヒル大将は弱い指揮官です。誹謗や能力がない、と申し上げているのではありません、為人の問題です。グリーンヒル閣下は良識家で穏健、誠実な方です、我を通す事に躊躇いを持たれている様に思います。それ故に下からの突き上げに弱い。そこを艦隊司令官達に突かれたのです。まあ、任務より個人的な武勲を追求した艦隊司令官達も問題ですが。出来れば彼等も替えて欲しいですね」
“適材適所ではなかった、という訳だな”
「はい。難しい問題ですが」
“ありがとう。参考になったよ。ところで、貴官の元の任務はイゼルローン要塞への派遣だったが、現状ではアムリッツァに留まって貰うしかない。厳しいとは思うがよろしく頼む”
「了解致しました」
あまり言葉を飾らず言いたい事を言ったつもりだけど、ちゃんと伝わったかな…。
「結構厳しい事を仰られていましたが…大丈夫なのですか?」
よく見つ
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