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SAO─戦士達の物語
MR編
百六十三話 姉、襲来(後)
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生み出した娘たちを囚われ、壊された。 それによって彼女が味わった無念や悲嘆、苦痛は想像しきれない……想像しきれるものだと思ってはいけないと、思う。ただ少しだけ、いつか今よりも和人を通じて怜奈との関係がより深いものになった時、自分の中にある SAO と、アインクラッドへの思いを打ち明けたとして、それを彼女に分かってもらえるだろうか…そんな不安が、心の奥底に僅かに浮かんでついさっきまでの温かい心が冷えそうになる。痛みを抑え込むように抱えた掌は少しだけ冷たく、けれどその肩に、温かい手が載るのを明日奈は感じた。

「キリト君……」
「怜姉さんも色々あった人ではあるんだけどさ……」
少しだけたどたどしく、言葉を選ぶように和人は続ける。 少しだけ慣れない気配は、気遣いと自分の身内について語る経験が浅いゆえだろうけれど直前まで自分が考えていたことが、彼には間違いなく伝わっているのだという確信が、 明日奈にはあった。

「あの人はいつも俺達の事を考えてくれてる人だし、尊重してくれる人なんだ、だから????心配ないよ」
「うん……」
胸に当てた手を彼の手に重ねると自然、指先が絡み合う。その温かさに吸い寄せられるように頬を摺り寄せるころには、手のひらに感じた冷たさはすっかり溶けて消えていた。そう、きっと何も心配はない。この温もりに……この暖かさに出会うために私のあの日々はあったのだから。例え誰に否定されたとしても、されないとしても、その旅路には後悔はない。

「……どーだユウキ、真横でイチャイチャされる気分はよ 」
「んーなんていうかねぇ、ムズムズする、 あとすっごく、 フクザツ」
「わぁ!?」
そんな逢瀬に割り込む声が二人分。 というかそうである、 和人は今左肩に触れてくれていたが、右肩には今も普通にユウキが載ってるのだ。その状態でさっきまでしていた会話を思い出して、たちまち頬が熱くなるのを明日奈は自覚した。

「ユウキ、ち、違うの!」
「違わねぇだろ、何を空港のど真ん中でイチャついてんだお前らは」
「いや、別にそういうわけではないと言いますかそうでもないと言いますか」
「責めて否定するにしてもハッキリしろお前、ったく、さっさと行くぞ幸せカップル」
呆れ気味の声でそう言って既に歩き始めた怜奈たちを追いかけて先行する涼人を、 和人たちは慌てて追いかける、背後に続く彼らの姿を肩越しに眺める青年は、どこか嬉しそうに笑っていた。

────

夜、 川越の桐ケ谷家に戻ってきた涼人達四人は、夕食の片付けも終え、就寝までの思い思いの時間を過ごしていた。

「お風呂頂きましたー、はー、やっぱり湯舟に浸かるのが前提の家って良いわ……これに関しては間違いなく日本が最高ね」
「お姉ちゃんまた言ってる、それ帰ってくる度に言ってない?」
「スグも
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